句読点と引用符
あるブログ(http://www.hanasan.net/xoops/modules/wordpress/index.php?p=259)で、日本語の句読点(、。)や引用符(「」)の使い方について議論になっています。
私も考えてみました。私は必ずしも専門家ではないので、いくつか推測を交えています。
まず、古来の日本語には句読点も引用符もありません。江戸時代の本などを見ても分かります。
では、句読点や引用符はいつから、どういう経緯で日本語に導入されたのでしょう?推測ですが明治時代にヨーロッパの本を日本語に翻訳するときにコンマ(,)、ピリオド(.)とコーテーションマーク(" ”)をどのように表すかを大勢の人が工夫した結果、自然にこのような形に落ち着いたのだろうと思います。
もしそうなら、なぜ、コンマ(,)、ピリオド(.)とコーテーションマーク(" ”)をそのまま使わなかったのか?クエスチョンマーク(?)はそのまま使われているのに。これも推測ですが、二つの理由が在るように思います。
一つには、コンマ(,)、ピリオド(.)とコーテーションマーク(" ”)は横書きの文には収まりがいいのですが、縦書きにするとどうも据わりが悪いと言うことです。クエスチョンマーク(?)は縦書きの文で使ってもそれほど違和感がありません。
もう一つの理由は、明治時代に使われていた墨という素材と筆という道具では、コンマ(,)、ピリオド(.)とコーテーションマーク(" ”)は、ひどく書きにくいと言うことです。特にピリオド(.)を書くのは困難です。普通に書くと広がってしまいます。
では、なぜ、句読点(、。)や引用符(「」)を使ったのか?これは、一つには縦書きでも書きやすく、違和感がないという理由ではにかと思います。さらに、全くの推測ですが、これらの記号は、謡や小唄の本に使われていたのではないかと思われます。
このように、記号の形が変えられているのですが、もう一つ大きな変化が生じています。それは「」の使い方です。欧文の” ”は、引用を示す記号です。そして引用をする場合は、元の文を再現するのが原則です。もし修正するなら、最小限の修正にとどめ、しかも、どこが引用者によって変更されたが分かるようにしなければなりません。この原則に従って、前のパラグラフの最後の文を引用するならこうなります。
平家は「さらに、全くの推測ですが、これらの記号は、謡や小唄の本に使われていたのではないかと思われます。」と述べている。
これを、次のような引用するのは不適切です。
平家は「多分、これらの記号は、謡などの本に使われていたのではないかと思います。」と述べている。
元の文が再現されていません。これは不適切です。
元の文が再現されていても、次のような引用はいけません。
平家は「これらの記号は、謡や小唄の本に使われていた」と述べている。
このような引用では意味が変わってしまっていますね。意味を変えてしまうような引用も不適切なのです。
原文を忠実に再現し、しかも意味を変えないようにする、これが本来の引用で” ”は、この記号で挟まれた部分は、このような引用をしているということを示しているのです。
よく、教科書で会話の文を" ”を用いて、これを直接話法と読んでいますが、意味の上からは再現話法という方が適切でしょう。間接話法は、言い換え話法という方が意味がよく分かります。
日本語の「 」には、このような厳格な引用の意識がありませんし、引用ではなく強調の意味でも使われます。(強調に使われるのは、日本語では斜体が使いにくかったためだろうと推測しています。)
以上を踏まえると、欧文ルールに忠実に従うとすれば、次のようなルールが考えられます。
元の文が・・・。と句点で終わっているとき、 「」で引用するときは「・・・。」とする。句点を省略して「・・・」とはしない。
横書きの文での句読点の使い方
1 縦書き用に作った句読点をそのまま用いる。(私はこれに従っています。)
2 縦書きだから句読点にかえたのだから、横書きでは元に戻してコンマ(,)、ピリオド(.)を用いる。(理科系の方が使われるようです。)
これ以外のルールを定めてもいいと思います。特に、横書きの文での句読点の使い方はいろいろあるので。
ただ、「」を用いた引用に関するルールはもっと厳格にした方がいいと思っています。意味が変わってしまうの良くないので、できるだけ厳格にした方が、間違いを減らせると思うますので。
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