2006年1-3月国内総生産速報 その2

さて、「2006年1-3月国内総生産速報」で準備が終わりましたので、最初の問題に戻ります。2006年1-3月で対前年同期比で、三期続いて純輸出が名目では減少、実質では増加と、対称的な動きを示していることの経済的な意味です。 これは名目輸出も増加し、名目輸入も増加する中で起こった現象です。日本の名目輸出が減少しているわけではありません。実は名目輸出はかなり高い伸びを示しています。ただ、それをさらに上回るように名目輸入が増加しているのです。そして、このきわめて高い名目輸入の増加は、数量の増加、つまり実質輸入の増加もありますが、多くは輸入物価の上昇によるものです。(詳しくは、「4月の貿易黒字(バランス)」をご覧下さい。) 輸出物価も上昇していますが、その上昇は輸入物価の上昇に及びません。これが何を意味しているかは明らかです。数量ベースで見た日本の輸出1単位で購入することのできる輸入品の量(数量ベースで見た量です。)が減るのです。 例えば、2005年4月には、日本は自動車534,439千台を825,630百万円で輸出しました。1台につき154万円です。また、原油及び粗油19,532千キロリットルを461,036百万円で輸入しました。1リットル当たり33円銭です。2006年4月には、自動車602,965千台を962,869百万円で輸出しました。1台につき160万円です。また、原油及び粗油23,401千キロリットルを1,059,333百万円で輸入しました。1リットル当たり45円です。輸出品である自動車の価格も上3.4%上がっていますが、原油及び粗油の値上がり率は、38.2%で自動車よりも高くなっています。 この結果、何が起こっているか?2005年4月には自動車を1台輸出すれば、原油及び粗油を47,162リットル買うことができたのに、2006年4月には35,276リットルしか買えなくなったのです。買える量は4分の3に減ってしまいました。別な言い方をするとこれまで3台作って輸出すれば買えたものを輸入するために4台作って輸出しなければならなくなったのです。 (続く) 人気blogランキングでは「社会科学」の23位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング