「経常収支」と「資本収支」

外国への投資?その1」に「あたろう」さんからご質問がありました。

「日本に住んでいる人がアメリカに在る銀行に100万円預金したら日本の経常収支はその分100万円赤字になると計算するのでしょうか。」というお尋ねです。

国際収支は大きく「経常収支」と「資本収支」に分けられます。

「経常収支」は、その年に生産されたものの取引です。もの、例えば自動車の場合もありますし、運賃のようなものもそうです。そして、金融関係では利子、配当などの「元手」てを運用してその年に得られた収入も「経常収支」に含まれます。

これに対して「元手」である預金や債券、株式の取引は「資本収支」に含まれています。

お尋ねのように、日本に住んでいる人間が外国にある銀行に預金をすると、これは「元手」を日本から移したことになります。ですから、これは「資本収支」にカウントされます。「経常収支」には含まれませんので、日米どちらの「経常収支」影響しません。

「資本収支」では日本からアメリカへの資金(資本)の流出ですから、日本の「資本収支」では100万円の赤字、アメリカの「資本収支」では100万円の黒字です。

日本に資金の余裕があって、預金するのに「赤字」というのは妙に思われるかもしれませんが、国際収支では、お金がでていくときはものを買う場合も、元手を出すときも、すべて「赤字」、入ってくるときは「黒字」と約束してあります。

なお、この100万円の預金に対して、将来、利子が払われますが、「利子」の支払いは「経常収支」にカウントされます。利子はアメリカから日本に住んでいる人への支払いですから、支払われた時、日本の「経常収支」は「黒字」、アメリカの「経常収支」は「赤字」になります。

このように、現在の「資本収支」の「赤字」は、将来の「経常収支」の「黒字」の元です。ただ、預金したアメリカの銀行がつぶれて利子を払ってくれないと、将来の黒字にはなりません。

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