「「今年の経済と雇用」の検証(第1回)」への追加
「「今年の経済と雇用」の検証(第1回)」への追加です。
下線部分が追加したところです。
1-3月の結果を検証してみます。太字が当初の記事の文章です。本格的なものはGDP速報が出てからやります。
1 企業の設備投資は、順調に増えるでしょう。
2 政府の支出は、削減がつづきます。
3 増税、負担増は次のように確定しています。
・1月1日 所得税の定率減税半減
・4月1日 国民年金保険料が13,580円から13,860円に
・6月1日 住民税の定率減税半減
・9月1日 厚生年金保険料が14.288%から14.642%へ
・10月1日 医療費70歳以上の窓口負担2割から3割へ
70歳以上の長期入院患者の職住費を自己負担化
高額医療費の上限引き上げ
・2007年1月1日 所得税の定率減税全廃
1-3月の結果
家計調査の勤労者世帯の実収入に占める非消費支出の割合は15.3%で前年同期比0.2ポイント上昇しています。
4 貿易収支は少し悪化すると見ます。
原油高がつづく限り、輸入は高い水準を維持するでしょう。輸出は微妙です。アメリカの景気、円安がつづけば持ち直すかもしれません。しかし、貿易収支は昨年水準を少し下回る程度とみます。
1-3月の結果(3月がまだ速報値です。)
輸入は、16兆1,024億85百万円で、27.3%増加。
輸出は、17兆6,774億4百万円で、17.6%増加。
黒字は、1兆5,749億19百万円で、33.9%減少でした。
詳しくは、「『貿易黒字(バランス)減少』について」を見てください。
5 消費パターンですが、年前半は少し改善すると見ます。ここで言う消費パターンは同じ税引き後の所得水準に対してどれだけ消費するかです。雇用環境の改善、所得の増加が消費パターンを改善させるでしょう。
1-3月の結果
家計調査の全世帯の名目消費支出は、292,462円で、前年同期比1.8%減少、実質消費支出は、298,516円で、同2.2%の減少でした。
勤労者世帯では、名目実収入は443,034円で同3.0%減少、可処分所得は375,414円で、同3.1%減少、消費支出は、321,605円で、同2.8%減少でした。
実質可処分所得は、383,220円で同3.5%減少、消費支出は328,220円で3.2%減少でした。
家計調査で見る限り、所得環境が改善した兆候は見られません。
毎月勤労統計(3月がまだ速報値です。)では、現金給与総額は前年同期比0.2%増加変化なしです。一般労働者だけでは、0.2%増加0.1%減少、パートタイム労働者では1.6%増加です。
常用雇用は0.5%増加、一般労働者は0.4%0.5%、パートタイム労働者は1.1%0.8%増加です。
個々の労働者では、賃金の増加はわずかですが、は増えていませんが(一応、家計調査と傾向に矛盾はありません。)、雇用は増えていますので労働者全体が受け取った賃金総額は増加していることになります。
これらを見る限り、所得環境がそれほど改善しているとは言えい切れません。
6 消費者物価は、輸入物価の上昇の影響もあり、年前半は少し上がると見ます。企業物価は上がるでしょう。GDPデフレーターは横這いでしょう。これらが消費や投資にどう影響するかはよく分かりません。
1-3月の結果
消費者物価指数(総合)は、98.0で前年同期比0.4%の上昇でした。
企業物価指数(3月がまだ速報値です。)は、国内が2.8%、輸出が5.0%、輸入が23.5%の上昇でした。
7 若年者の雇用は年前半は改善するでしょう。
1-3月の結果
労働力調査結果による全産業の就業者数です。
15歳から24歳 552万人(前年同期比6万人増加)
25歳から34歳 1,405万人(同12万人減少)
このうち転職、追加就業希望者
15歳から24歳 126万人(前年同期比5万人減少)
25歳から34歳 266万人(同8万人減少)
15歳から24歳では改善、25歳から34歳では悪化です。
1,5がプラス、2,3,4がマイナスの要因です。せめぎ合いの中で景気や雇用の動きが決まっていくでしょう。年後半も景気の改善がつづくか、後退に転ずるか、実に微妙です。
(5月18日追記 速報値を、一部確報値に改めました。)
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