原油が上がれば消費は減るか?

cloudyさんが、「デフレから脱却したのか?」(http://cloudy9.blog29.fc2.com/blog-entry-29.html)で原油高騰→実質所得低下→消費減少という回路が働くと主張されています。明確には書かれていませんが、この消費実質消費でしょう。

一方、原油高騰→物価上昇期待→消費拡大という可能性もあることを認められています。

さて、ここで別の説明を試みたいと思います。

実質国内生産が一定であることを前提とします。また、貿易収支は均衡しているものとします。

このような例を考えましょう。

原材料を100単位輸入します。それを全部使い切って国内製品を1000単位作ります。

さて、第一期、第二期ともこの条件は全然変わらないとします。(従って通常の計算をする実質所得も変わりません。)

第一期には、原材料1単位の輸入のために、国内製品100単位を輸出しなければならないとします。第二期には原材料1単位の輸入のために国内製品を200輸出しなければならなくなったとします。

第一期の国内製品の使い道は、国内での利用900単位と輸出100単位です。

第二期には、原材料輸入も生産も全く変わっていないのですが、国内製品の使い道は変わります。原材料と国内製品の交換比率が変わったために、輸出に200単位を振り向けなければならなくなったからです。国内での利用は、800単位に抑えなければなりません。

国内での利用は、消費に限らず投資、政府支出などもありますから、減らさなければならない投資、政府支出などを100単位減らして、消費を維持するということも理論的には可能です。

しかし、消費の割合はかなり高いので、消費を全く減らさないというのは、あまり現実的ではありません。

基本的には、原油高騰は消費を減らす効果を持つと考えていいでしょう。

(おまけ)

第一期の輸入品価格を1、国内製品の価格も1とします。第二期には、輸入品価格は2、国内製品の価格は1のままとします。

第一期の名目総生産は1×1,000-1×100=900です。

第二期は、1×1,000-2×100=800です。

しかし、実質で計算する、つまり価格一定と考えて計算すると、第一期、第二期とも変わりはありません。実質生産が一定なら、実質所得も一定と考えると、第一期、第二期とも実質所得は一定です。それでも消費は減る公算が大きいのです。

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