保守親父@労務屋さんへのお返事

高齢の公務員は無能なのか?」に保守親父@労務屋さんから、丁寧なお返事、ご説明を頂きました(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060426)。感謝しています。

論点が幾つかありました。

論点1 まず、現在の高齢公務員が採用されたとき公務員に人気があったかどうか。

これについては、保守親父@労務屋さんにも私にもはっきりしたことは判りません。ただ、現在ほどではなかったろうと言うことでは、二人とも合意しています。どなたか詳しい方に教えていただければと思います。

論点2 採用時に「それなり」に優れた人材であったか?

「それなり」如何ですが、保守親父@労務屋さんは高校への進学率が70から90%であったときに、高卒であれば「それなり」とお考えになっているようです。「それなり」をそういう意味で使われるなら、そのとおりでしょう。ごく普通の人といったほうが正確なような気がしますけれども。

なお、誤解のないように付け加えますと、私は、当時公務員になられたかたがたを無能であったと言うつもりはまったくありません。

また、保守親父@労務屋さんは、高年齢の公務員だけを想定されていなかったそうなのですが、最近採用された国家公務員は、それなりに優秀であることは、私も否定しません。ただし、それらの国家公務員が入ったときは有能であったが、その後、戦力になっていない人であるというのが、ご主張であれば、それには賛成できません。

論点3 「自然減以上に人員を削減する」の真意について、こんな説明を頂きました。

「同じ減らすにしても組織を維持するために若い人を一定数採用したい、したがって定年退職や自己都合退職以外の方法で人員を削減する、ということを言っています。」

こういう意味であるとは思いませんでした。誤解していました。読み込み不足でした。

論点4 保守親父@労務屋さんお勧めの「労働市場での転職が可能な人を削減するといった配慮」をすることが現在の法令上技術的に困難なことは、保守親父@労務屋さんもお認めになっています。

これらを前提に、改めて人員削減策を考えてみました。二つのケースがありえるようです。

ケース1 人員削減は、定年退職や自己都合退職で対応し、新規採用は中止する。

これで5%削減できるのであれば、確かに実行可能です。

ただ、その場合、「官」は、若い人を一定数採用することができず、組織の活力を維持できなくなる可能性があります。国鉄で5年(くらいだったと記憶しています。間違っているかも知れません。)採用を停止し、その後も採用を抑制した結果、人員構成にゆがみができ、さまざまな問題が発生したという例もあります。職場に若い人がいないことは組織の活力を奪います。これは、保守親父@労務屋さんにもお認めいただけると思います。官に活力を失わせることは長期的には、大きな問題が発生するおそれがあると思います。

ケース2 人員削減は、定年退職や自己都合退職で人員を削減した上、さらに工夫して技術的困難を乗り越え、職員を解雇し(あるいは自己都合で退職させ)、一定数の新規採用を行う。

実行可能か?これが大問題です。できないと言ってしまうと話が進まないので、実行できるとして次に進みましょう。疑問があります。

ケース1の場合、民間には余剰人員は出て行かないので問題はありません。なお、定年退職者や自己都合退職者のほとんどが、「官にとってあまり戦力にならないひと」であるとはいえないでしょう。有能な人も、無能な人も平等に年をとりますから。

では、ケース2の場合に何らかの工夫により退職させた職員は、「官にとってあまり戦力にならないひと」なのでしょうか?若い人を採用するために辞めさせるのですから、若い人を辞めさせるのでは目的を達成できません。最近になって入った優秀な国家公務員を削減するのではないのです。中高年の公務員に辞めてもらう、辞めさせるしかいのです。

極端な場合、そのような公務員が全員官にとって「戦力」になっていても辞めさせることになります。「変化や不確実性への対応」ができようがができまいが辞めさせるのです。若い人を多く採用する必要があればあるほど多くの人を辞めさせることになります。そういう人は皆「官にとってあまり戦力にならないひと」なのでしょうか?「官」の人材養成がまずかった結果、戦力にならなかった人なのでしょうか?これが第一の疑問です。

第二の疑問です。実行可能性の話に戻ります。ケース2を実行可能にしようとするなら、政府が退職国家公務員の再就職先を斡旋するしかないのではないでしょうか?そのとき、受け皿になるのは、民間企業しかありえません。公益法人などを作るのを認めるなら別ですが、そんなことでは意味がないでしょう。あるいは、優秀な人を指名解雇するのでしょうか?下手に希望退職など募集したら、bewaadさんが書かれているように(http://bewaad.com/20060427.html

)優秀な人から辞めて行きかねません。なお、優秀な人がいなくなると困るのは、霞ヶ関だけの話ではないでしょう。

第三の疑問です。保守親父@労務屋さんは「人事制度や組織を見直して、アダプタビリティやフレキシビリティを確保できる仕組みを再構築することが必要なのだろうと思います。」とおっしゃいますが、それがどんなことなのか良く分かりません。国の人事制度や組織の改革はそう簡単にできるものではないでしょう。法律を変えなければならないのですから、民間よりも手間がかかります。それは5年間に5%減らすのに間に合うのでしょうか?遅くても5年5%を決めるときに同時に再構築しておかなければならないでしょう。それは無理ではないでしょうか?

保守親父@労務屋さんに反論ばかりしましたが、私も、別に、公務員全員が有能であると思っているのではありません。だからこそ、有能な人が辞めてしまったら、「官」がきちんと仕事をできるのか心配しているのです。

人気blogランキングでは「社会科学」の30位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング