進化した毎日新聞

唐様で売り家と書けばいいのでしょうか?毎日新聞」で、こんなことを書きました。

毎日新聞の2005年12月5日の社説は、こうです。

「29日の経済財政諮問会議では・・・今後10年間で政府の資産規模を国内総生産比で半減させることが盛り込まれた。」「国有財産もむやみに売却できないだろうが、財政再建を進める上では、有力な手段である。」「国の資産・負債の観点から借金を見直していいくという根源的な手法は地味だが、継続していけば効果が期待できる。」

政府の財産の売却や国債の発行ではなく、実収入を増やし、支出を賄えるようにするのが「根源的な手法」でしょう。国有財産の売却を「継続していけば」、そのうち売れるものがなくなってしまいます。その時、国民はどうすればいいのでしょう?毎日新聞は、それでいいのですか?

(実収入とは、資産の減少や負債の増加を伴わない収入です。詳しくは「実収入」をお読み下さい。)

私は、新聞には、政府の決定を疑わずに、賞賛することではなく、政府の決定に多角的な検討を加えることを期待しています。

こんな検討を毎日新聞には期待していました。

果たして「今後10年間で政府の資産規模を国内総生産比で半減」させても国民生活に支障はないのか?

売ってしまっていい財産はそんなにあるのか?

半減させてどれだけの収入が得られるのか?

10年間で売ると、投げ売りになってしまわないのか?

優先して売るべき財産は具体的には何なのか、売ってはならない財産は具体的には何なのか?

売ることを自己目的にしてしまっていいのか?

残念です。」

今日(2006年2月21日)の社説のタイトルは、「有力策だが切り札ではない」です。方向転換しています。あるいは進化したのかもしれません。

「第一に財政再建に寄与するということは、国債や借入金の返済に使うことができなければならない」。

まあ間違いではありません。

外国為替資金特別会計の資産、約80兆円は・・・・米国債などを売却しても、国債の償還や償却には回らない。」

売って円に換えればドル売り円買い介入です。今やればとんでもないことになるでしょう。短期国債の償還財源にはなりますが、売買益がでなければ長期国債の償還財源にはならにでしょう。書いてあることは間違いではありません。

「300兆円近い貸付金の大半は財政融資であり、政府の債務には入っていない財投債と見合いであり、回収したとしても、一般国債の償還などの財源にはならない。」

財投債も国債ですが、一般国債の償還財源にならないことは事実です。

「政府出資金や政府保有株式は、・・・・・借金の返済に役立つ。」

その通り。ただし特定期間に集中して売り出せば買いたたかれるおそれがあります。もちろん株主としての権利はなくなります。

「河川や道路、港湾など公共用財産も・・・・民間による経営が可能なものでは売却は不可能ではないが、それはきわめて少ない。」

その通り。

「残るのは、都心部の土地の有効活用が可能な宿舎の売却や、庁舎用地を高層化で節約し、残りを売却することや、庁舎の証券化である。」

そうですね。

「詰まるところ、政府資産の売却はできるところから、着々とやっていく以外にない。それは財政健全化に確実な効果をもたらす。だからといって、それだけで財政状況が目に見えて改善することにはならない。」

妥当な総合的判断ですが、これでは資産売却は「有力策」とは言えないのではないでしょうか。

ついでに、国有財産の資料です。

2005年11月29日の経済財政諮問会議に提出された資料です。2ページ目をご覧下さい。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2005/1129/item4.pdf

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