リフレ政策の検討 その4

リフレ政策の検討 その2」の「Ⅰ 日銀が長期国債を銀行から買うと言うところから始め」たときの続きです。

4 Xが銀行から借り入を元に既発の債券や株式などの海外資産(この資産は、当期生産される財やサービスではありません。)を買ったり海外に預金したりする場合。

この場合には、直接には国債の財・サービスを買うのではありませんから、このルートでは物価の上昇は起こりません。資産価格の高騰も起こりませんから、こちらのルートでも物価の上昇は生じません。

しかし、海外資産を購入したり外貨預金をするためには、外貨が必要です。ここではドルと考えておきましょう。外国為替市場では、円売り、ドル売りが行われ、円安・ドル高になります。

『経済論戦の読み方』154ページで説明されているように、これは政府が大規模な円売り・ドル買いを行うのと同じです。(円高リスクを誰がとるかという点ではもちろん違いがあります。)円安(為替レートの低下)は輸出の増加をもたらします。輸出の増加は、総需要の増加、物価の上昇をもたらします。なお、銀行が貸し出しをせずに、自ら対外投資を行っても同じことが起こります。

対外投資の拡大は、今でも起こっています。例えば、17年度上半期の対外中長期債投資は約15兆円の流出超過です。銀行の借り入れが元手になっているかどうかは分かりませんが。

http://www.mof.go.jp/bop/pg17h_fy.htm

従って、このような行動がとられ、物価が上昇するというるという予想が行われる可能性は十分あります。

(続く)

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