政府の大きさ その6
「政府の大きさ その1」の表の解説を少し。
この表は、国民経済計算の「制度部門別所得支出勘定」の「一般政府」とhttp://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h17-nenpou/n80i4_jp.xls同じく「制度部門別資本調達勘定」の「一般政府」の「実物」部分http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h17-nenpou/n90c3_jp.xlsを統合し、整理したものです。
この表をご覧になって、一般政府の規模が小さいと感じられる方がいらっしゃるかもしれません。
そう感じられる理由はいくつかあります。第一に、一般政府を構成する主体の間の経常的な移転の扱いです。
このような移転としては、例えば国の一般会計から地方(地方政府)へ交付される地方交付税交付金、義務教育国庫負担金など、国の一般会計(中央政府)から厚生年金特別会計、国民年金特別会計など(社会保障基金)へ支払われる繰り入れなど様々なやりとりがあり、巨額です。
これらは移転する側の支出であり、移転される側の収入です。単純に収入、支出を合計するのではなく、これらについては収入、支出を相殺しています。
このようにしたのは、、国民の負担という観点から言えば移転には意味がないからです。例えば悔いに10万円税を納め、国が地方に10万円交付し、地方が10万円社会保障基金に繰り入れ、社会補償基金に支出するといったケースを想定すると、国民の負担はあくまで10万円だけです。これが分かるようにしました。
参考ですが、相殺した金額はこれだけです。
1980年度 19.9兆円
1990年度 34.4兆円
2000年度 51.6兆円
2003年度 49.9兆円
利子についても、国が地方に利子を払い、地方が国に利子を払う、あるいは社会補償基金に国が利子を払うといったことが考えあられます。この場合同様にすべきなのですが、元のデータで相殺してあるのかどうかが分かりませんでした。相殺仕切れていないおそれがあります。
小さいと感じられる第二の理由は、公的企業が一般政府に含まれていないことです。公的企業には日銀のような大物が含まれています。機会と暇があれば分析したいと考えています。
なお、国民の負担という観点で、一般政府にも公的企業にも含まれない財団法人などがあるのではないかという疑問があるかもしれません。もし、財団法人などに一般政府から補助金、委託費などが支出されていれば、それはこの表の支出のどこかに入ります。従って、この表で負担は分かることになります。
最後に、なぜ、国の予算書を元に作らなかったのかということの説明をしておきます。私が国民経済計算の方になじみがある、国の予算書入手が困難であった、理解するのが大変だろうと恐れをなした、計算がすごく面倒そうに思えた・・・・といったことが一つの理由です。国の会計制度は毎年変わって行くので、継続的な比較が困難というのも理由です。そして、重要なのが予算書では国際比較ができないが、国民経済計算なら理論的には比較が可能ということです。
国民経済計算は、国際的な標準によって作成されており、ここで作ったようと同じやり方で先進国の表を作り、比較することができます。政府が大きいか小さいか議論する際には。国際比較が(理論的には)可能な手法がいいと考えました。
なお、こちらもご覧になると参考になると思います。
http://bewaad.com/20051007.html
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