政府の大きさ その5

さて、税はどの程度の支出をカバーしているのでしょうか。少し調べてみました。
一般政府の支出と収入(単位:兆円)
項目1980年度1990年度2000年度2003年度
1 財産に対する支払いの内利子7.816.216.713.9
2 集合最終消費支出14.726.037.038.6
3 個別的非市場財などの移転9.415.120.119.4
4 社会扶助給付4.55.46.97.3
総固定資本形成14.621.626.021.0
支出小計51.184.3106.7100.1
Ⅰ 生産・輸入品に課される税17.834.942.640.8
1 生産物に課される税9.316.823.522.9
付加価値税0.05.812.412.1
2 生産に課されるその他の税8.618.119.117.9
Ⅲ 所得・富などに課される税27.360.946.336.7
内所得に課される税26.459.043.834.3
資本移転の内居住者の資本税0.41.91.81.4
45.697.790.778.9
Ⅱ 財産所得の内利子4.610.89.26.7
税と利子50.1108.599.885.7
税と利子でカバーできない支出0.9-24.26.814.4
一般政府は利子を払わなければなりません。払わなければデフォルトです。一方、利子を受けとってもいます。受け取った利子は利子の支払いに充ててもいいでしょうから、収入としては税のほかに受け取る利子も含めました。 1980年度であれば、この収入で、利子を支払い、最終集合消費、個別的非市場財などを提供し、社会的扶助を行って、さらに固定資本を形成しても、不足は0.9兆円だけでした。。 1990年度では、これらに支出を行った上で24.2兆円の余剰がありました。 200年度には6.8兆円不足し、2003年度には14.4兆円の不足です。 では、「支出をカットしてせめて、1980年度くらいまで回復するようにしたら・・・」と思われる方がおいでかもしれません。例えば、総固定資本形成を14.4兆円削れば、2003年度は均衡するように思えます。しかし、なかなかそれで回復するかというと疑問です。 私が、なぜそう考えるかというとこういうことです。 政府の支出は誰かの収入になっています。総固定資本形成は企業の収入です。社会扶助の支出は社会扶助を受ける人の収入です。詳しくは、「国の借金と国民の貯金」で書いたことがありますのでお読み下さい。そして収入は所得、富、消費の源泉です。 政府の支出カットは、政府以外の誰かの所得(給料も含みます。)、富、消費を必ず減らします。税は、所得・富、生産物が減れば減ってしまいます。 つまり、「入るを計って、出ずるを制する」と計ったはずの「入る」が減ってしまうのです。 表を見ていただき、1990年度と2003年度を比較すると、「所得に課される税」が24.7兆円も減っているのが分かります。税率引き下げの影響もありますが、所得の減少の効果も大きいのです。 財政の健全化が必要なのであれば、「経済活動を活発にし、それによって税収を増やす。」のが王道でしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」の24位でした。今日もクリック↓をお願いします。 人気blogランキング (11月12日追記 計算違いを修正しました。)