パラサイト ワイフ その1

平成17年の5月27日に開かれた政府税制調査会基本問題小委員会で、猪瀬委員が「パラサイト ワイフ」という発言をされました。議事録(http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm)では、発言者は示されていませんが、ご本人がAERAなどでお認めになっていますので、お名前をあげました。

引用しますと、こうです。(1)などの数字は私が補ったものです。

   (1)今専業主婦であれば子供を産むとはかぎらなくて、

   (2)逆に何もしないのが多いんです。子供も生まないで。

   (3)つまり、人生に前向きかどうかというと、働く女の人は前向きで、子供を産みたいわけ。

   (4)働かないで家でごろごろしている主婦が、子供を今産まないんです。逆になっているので、(後略)

これについてhottkeiさんが、この発言を「実証するデータは、国勢調査でも見つからない。」と書かれています。(http://d.hatena.ne.jp/hottokei/20050725

 

 考えてみたのですが、猪瀬委員の発言は、私には、今ひとつよく分からないのです。限られた時間の中で発言されたせいでもあるでしょう。

 一応考えてみました。

(1)は事実です。専業主婦でも子供を産まない方がいるというのは、統計を持ち出すまでもないでしょう。もっとも、これは、

「今働いている女の人であれば子供を産むとはかぎらなくて」とも言えますし、

「今専業主婦であれば子供を産まないとはかぎらなくて」でもかまいませんし、

「今働いている女の人であれば子供を産まないとはかぎらなくて」でも差し支えありません。

(2)はどうでしょう。「多い」と言うのが単純に数が多いというなら、まあ、こういう方が10万人ぐらいいてもおかしくはないでしょうから、10万人は「多い」に当たると言うことなら間違いではありません。

10万人を少ないと考えれば、「何もしないのは少ないんです。」と言ってもかまわないわけです。

(3)は「人生に前向き」をどう取るかが難しいです。「子供を産みたい=前向き」であったとしても、「子供を産みたくない」でも、必ずしも「前向きでないことはない」ですから。

 なお、余談ですが、「子供を産みたい女の人は必ず前向きである」と主張されているのであれば、それは、「前向きでない女の人は必ず子供を産みたくない」と主張していることになります。

 前向きの問題を避けて、「働く女の人は人は、働かない女の人より子供を産みたいとおもっている割合が高い」と受け止めれば、統計の議論になりそうです。

(つづく)

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