2005年上半期の貿易統計が発表されました。
http://www.customs.go.jp/toukei/latest/gaiyo2005_01-06.pdf
http://www.customs.go.jp/toukei/latest/200525c.pdf
貿易収支の黒字が26.4%減ったというので、かなり大きく報道されました。もっとも、すぐ後に現の切り上げという大イベントがあったので、すぐ忘れられたかもしれません。
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/tsuki/index.htm
地域別国際収支バランス(百万円、構成比は%)地域 | 2005年上半期 | 2004年上半期 | 増加 | 増加の構成 |
---|
世界 | 4,527,438 | 6,153,971 | -1,626,533 | 100 |
中東 | -3,222,435 | -2,338,364 | -894,071 | 55.0 |
中国+香港 | 64,823 | 838,031 | -773,208 | 47.5 |
EU | 1,508,548 | 1,573,951 | -65,403 | 4.0 |
中国、香港以外のアジア | 2,900,866 | 2,860,665 | 40,201 | -2.5 |
米国 | 3,605,126 | 3,286,898 | 318,228 | -19.6 |
これを見ると、中東から輸入している
原油の値上がりと
中国経済の動きが貿易黒字減少の主因であるようです。失速を懸念されている米国との貿易は黒字か拡大しています。
注 香港は中国との貿易の中継国なので、香港との貿易は中国との貿易と考えてかまわないのです。
貿易黒字は、GDPを構成します。貿易黒字が減ると、その分だけGDPが減ります。つまり、景気が悪化するのです。普通の場合にはGDPの減少は雇用にマイナスの影響を与えます。
では、貿易黒字を増やせるのかというとそうでもないのが難しいところです。変動相場制の下では、黒字が増えれば(そうでないときに比べて)円が高くなる傾向があります。円が高くなれば、輸出は減り、輸入は増えます。つまり貿易黒字が小さくなります。変動相場制には、ある種の自動調整作用があり、一方的に黒字を増やし続けることはできません。
もっとも、黒字になったとき、政府が円を売って外貨を買い取ることにより円の上昇を抑えることは(外国特に米国からの批判を無視できるのであれば)不可能ではありません。最近のように、買った外貨で米国の
国債を買い続け、それによって、米国の批判をかわすという手もあります。
しかし、基本的には、変動相場制の下では国内の需要を増やすことによってしか、持続的な成長はできないと、考えておくべきでしょう。
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