正社員と非正社員

総務省が16年事業所・企業統計調査の速報を発表しました。

http://www.stat.go.jp/data/jigyou/2004/sokuhou/youyaku/youyaku.htm

この調査の魅力は、全数調査(悉皆調査)であることです。

普通の調査だと100の事業所があればそこから10だけ取り出して調査します。抽出調査といいます。そして調査した10について集計して、そこから全体100がどんな者であるかを推定するわけです。この場合、100の内10しかない種類の事業所からは1しか選ばれないので、それが10の内の少々変わった事業所だとそこから10全体を推し量ると変な数字が出て来ることがあります。こりゃ変だな、この数字は使えなーと思うことが時々あります。小さな分類になるほど無理がかかってくるのです。

でも、この調査のように100なら100の全部を調べてくれると、どんな小さな分類をとっても狂いがないので、安心して使えます。

ご想像がつくと思いますが、こういう調査をやるのは大変です。後で出てきますが、バー,キャバレー,ナイトクラブ間で調べてくれています。総務省統計局の皆さんご苦労様です。

さて、細かな分類でも信頼できるという、この調査の長所を活用して、産業小分類ごとにせいしゃいん。正社員・正職員とそれ以外(それ以外と書くと何か失礼な気がするので非正社員と書きます。)に分けて人数を調べてみました。

非正社員が20万人以上いたのは、18の産業小分類でした。

(見にくくてすいません。どうしてもうまく間隔をとって並べられません。どなたかいい方法をご存じでしたら教えてください。)

産業名       雇用者の数 雇用者の内正社員・正職員  非正社員  正社員・正職員の割合

全産業 44,905,609人、 28,059,699人、 16,845,910人、 62.5%

食堂,レストラン 1,508,442人、 351,880人、 1,156,562人、 23.3%

その他の飲食料品小売業 1,355,730人、 245,314人、 1,110,416人、 18.1%

各種食料品小売業 870,473人、 196,016人、 674,457人、 22.5%

他に分類されない事業サービス業 1,050,756人、 402,967人、 647,789人、 38.4%

書籍・文房具小売業 611,851人、 135,692人、 476,159人、 22.2%

建物サービス業 697,561人、 277,756人、 419,805人、 39.8%

百貨店,総合スーパー 546,230人、 154,527人、 391,703人、 28.3%

酒場,ビヤホール 461,648人、 112,557人、 349,091人、 24.4%

バー,キャバレー,ナイトクラブ 426,238人、 99,716人、 326,522人、 23.4%

旅館,ホテル 608,238人、 283,238人、 325,000人、 46.6%

一般貨物自動車運送業 1,191,553人、 905,917人、 285,636人、 76.0%

一般診療所   630,314人、 368,522人、 261,792人、 58.5%

その他の食料品製造業 412,301人、 152,832人、 259,469人、 37.1%

その他の社会保険等事業 318,078人、 93,971人、 224,107人、 29.5%

他に分類されない小売業 391,339人、 167,928人、 223,411人、 42.9%

病 院 1,345,973人、1,130,425人、 215,548人、 84.0%

菓子・パン小売業 298,315人、 94,310人、 204,005人、 31.6%

その他の一般飲食店 228,252人、 26,452人、 201,800人、 11.6%

正規以外20万人以上の18小分類合計

                 12,953,292人、   5,200,020人、            7,753,272人、      40.1%

全産業の雇用者の内、18小分類の雇用者は、28.8%です。「正社員・正職員」に限ると18.5%しかいません。非正規は46.0%もいます。この18分類だけで半分ぐらいいるわけです。

全産業だと「正社員・正職員」の割合は62.5%ですが、この18小分類では40.1%しかいません。

ちょっと説明を加えておきますと、「労働者は兼業」は「他に分類されない事業所サービス業」に含まれます。「建物サービス業」には清掃などのいわゆるビルメンが含まれています。「訪問介護」は「その他の社会保険事業」です。

余談ですがが、「酒場,ビヤホール」が雇用者 461,648人、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」が、同じく426、238人も雇用者のいる大産業だとは気がつきませんでした。あわせると90万人近いのですね。

閑話休題

非正規労働者が増えているという言い方で、まるで、すべての産業で非正規労働者が増えているように思われています。でも、この結果を見ると、非正規になじみやすい職場と、そうではない、やはり正社員・正職員が必要な職場の差はあるのでしょう。これを忘れて正社員の確保・育成を怠っていると、長い目で見て企業の経営に問題が生じるおそれがあると思います。

金融不安が解消するまでは、分かっちゃいるけど採用できない、育成できないという状態だった企業の方には、将来労働市場に出てくる若者が減ることを意識して、着実な採用、育成をしていただきたいです。

正社員を目指す若い方には、業種の特性を見て、職場を選ぶことをおすすめします。

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