労働力の超・売り手市場が到来する?本当かな?

労働力の超・売り手市場が到来する?」へのコメントでシーラカンスさんに「出番ですよ」と呼び出しを受けてしまいました。数字の裏付けを、ということです。

さて、どうでしょうか。

まず、年代別の人口と雇用者の数、人口に占める割合を考えてみます。

20-24歳 775万人、469万人 61%

25-29歳 884万人、664万人 75%

30-34歳 979万人、684万人 70%

35-39歳 862万人、595万人 69%

40-44歳 788万人、568万人 72%

45-49歳 787万人、564万人 72%

50-54歳 944万人、626万人 66%

55-59歳 953万人、565万人 59%

60-64歳 859万人、312万人 36%

65-69歳 736万人、131万人 18%

20-34歳 2,638万人、1,817万人 69%

35-49歳 2,437万人、1,727万人 71%

50-59歳 1,897万人、1,191万人 63%

20-59歳 6,972万人、4,735万人 68%

今から5年たつとみんな5歳年を取ります。20-24歳の方は、775万人いて、今はそのうち61%が雇われて働いています。5年たって、25-29歳になったとき、今の25-29歳の人と同じ割合、つまり75%が雇われて働くとすると、582万人になります。現在の25-29歳で雇われて働いているのは、664万人ですから、5年後には82万人減ることになります。

こんな計算をずっと続けるとこうなります。今の人数、5年後の人数、その差の順です。

20-24歳 469万人、413万人、マイナス 56万人

25-29歳 664万人、582万人 マイナス 82万人

30-34歳 684万人、618万人、マイナス 66万人

35-39歳 595万人、676万人、プラス  81万人

40-44歳 568万人、621万人、プラス  53万人

45-49歳 564万人、565万人、プラス   1万人

50-54歳 626万人、522万人、マイナス 104万人

55-59歳 565万人、560万人、マイナス   5万人

60-64歳 312万人、346万人、プラス   34万人

20-34歳 1,817万人、1,612万人 マイナス 205万人

35-49歳 1,727万人、1,862万人 プラス 135万人

50-59歳 1,191万人、1,082万人 マイナス 109万人 

20-59歳 4,735万人、4,556万人 マイナス 179万人

20-59歳では、179万人減るのですが、これだけでは全面的な売り手市場というわけには行かないでしょう。失業者も300万人いますし、今はどうせいい仕事の口がないから仕事探しもしていないが、状況がよくなったら働こうと思っている人も大勢います。また、女性が働く割合も上がるでしょう。

しかしです。若手の20-34歳(今の15-29歳)だけを取ると、ざっと205万人も減ることになります。5年後にこの年代になる人口は、2,341万人います。今と同じようにこの年代で1,817万人確保するためには、雇われて働く率を78%に上げなければなりません。今が69%ですから、これは相当高い率です。これはを達成するには雇う側の相当な努力が必要です。

若手については雇う側が相当な努力をしなければならない、ということは売り手市場化するということです。すごく単純な仮定をした上の話ですから、あくまで可能性です。なお、日本の企業はどうしても新卒を優先して取りたがりますので、これから、これから大学、学校をでる方は相当有利です。

なお、若い人が足りなくなると、若い人を中途採用する動きが活発になります。今の会社で若い人をちゃんと扱っていないところは、次々と退職者がでてしまい、後の採用もできないということになるおそれがあります。

ただし、若手についても景気が悪くなっていると、厳しいことになるおそれはあります。

その少しだけ上の世代、35-49歳(今の30-44歳)では135万人も増える計算です。これは団塊の世代の子供世代がこの年代で、多いのです。特に現在の30-34歳は979万人もいます。今、団塊の世代だけが注目されていますが、実は現在の30-34歳は今の55-59歳よりも人数が多いのです。この世代は厳しいですね。ただ、上の50-59歳が109万人減っているので、重しが取れて昇進しやすくなっているかもしれません。

こう計算してみても、労働市場は景気次第というところがありますので、悲観も過度の楽観もなさらないでください。

いつ生まれるかは、自分では決められないのですが・・・・。

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