「我が社の合計特殊出生率」の安定性

「我が社の合計特殊出生率」算出の勧め」へのコメントで、労務屋@保守親父さんが、不安定な指標ではないかという疑問を呈されています。ごもっともです。考えてみました。

まず、国全体の合計特殊出生率がどんな風になっているかから始めましょう。こんな具合です。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai03/brth.html

表4、図2を読んでください。

平成15年の合計特殊出生率は、1.29です。つまり、女性は一生の間に1.29人の子を産むのです。女性にはやはり生みどきがあって、19歳以下、40歳以上はほとんど生みません。なお、生み時というのは社会的な要素を考慮した話で、体のことを考えるともっと早くてもいいそうです。

20歳から39歳までで1.24です。19歳以下、40歳以上では0.05しかありません。さらによく生むのは25歳から34歳までで0.88です。25歳から34歳までの10年間で0.88人生むわけです。

20歳から39歳までの20年間で1.24ということは、1年あたり0.062人生むということです。この年齢の女性が1,000人いれば62人を生むということです。

同じように、25歳から34歳までの0.88を元にすると、1年あたり0.088人、女性1,000人で88人生むことになります。

労務屋@保守親父さんがいわれるように、この率が低いと算出した数字が不安定になります。この年齢を取るとかなり高くなります。

そこで提案を修正します。

算出の際には、20歳から39歳までか、25歳から34歳までの女性に限定しましょう。不完全にはなりますが、数値の安定性は高まります。また、企業に勤めている女性もかなりの程度カバーできます。

そこで、たとえば25歳から34歳の女性が500人いる企業で、1年間にこの年齢の女性が生んだこの数が25人だったとします。0.05ですから、年齢合計特殊出生率は0.5です。この率にはムラがありますから、実際にはたまたま低くでたという可能性があります。これを考えてこの企業の真の姿を考えると、それはおそら0.69から0.31の間にあるだろうと考えられます。つまり、日本の平均よりは低いと判断していいということになります。

(これは二項分布を前提に、95%の信頼区間を設定した場合です。)

女性の人数が少ない場合には、過去何年かの平均を取るというのもいいと思います。そこで大きな環境変化や、制度変更を行っていないという前提で。

もう一つ全く別の方法があります。

45歳か40歳ぐらいの女性で若いときから自社で働き続けてきた人を取ります。もうほとんど産み終わっている方ですから、この女性の皆さんが平均して何人生んだかを調べるのです。こちらは、現在の状況ではなく、過去からの積み上げになるので、過去生みやすい環境であったかを見るときの指標になります。

さらに言えば、現在40歳の女性が入社以来生んできた状況と現在30歳になる女性の入社以来の産み方の差を調べるというのもおもしろいでしょう。

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