「【神になったニート】働いたら負けかなと思ってる 」について

【神になったニート】働いたら負けかなと思ってる 」について

この言葉、最近聞いたのですが、いつのニュースで出た言葉なのか分かりませんでした。この記事でようやく分かりました。感謝します。

ニートやフリーターが増えている背景を考えてみようと思い、長い期間のデータを探してみました。総務省統計局の「労働力調査」のデータがありました。ついでですが、このようなデータを長期間にわたって集め、HPで提供してもらえると本当に助かります。さすが、統計のプロです。

まず、一極化、働き方の一極化です。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt04.xls

自営業主(小さな工場や、商店、農家、漁業などが典型的です。)、家族従業者、雇用者(個人なり、企業なり、役所なりどこかに雇われている人です。)に分けてみると、自営業主、家族従業者が過去50年間、減り続けていることが分かります。これに対して雇用者は1997年までは一貫して増えていました。その後26万人ほど減ってはいますが、自営業主、家族従業者が257万人も減っているので、雇用者の割合は85%近くまであがってきています。

もし、自営業主や家族従業者が今も多ければ、ニートやフリーターも小さいときから少しは家の仕事を手伝い、学校を卒業したあと、仕事が見つからなければ親の仕事の補助ぐらいのことはできていたでしょう。田圃や畑の仕事をしたり、店員をしたり、工場を手伝っている長男はニートやフリーターではなく、跡取りと呼ばれていたのです。跡取りとニート・フリーターでは大違いです。跡取りなら別に世の中、家の中で居場所を失うこともなかったでしょう。

雇用者に一極化し、若者が働こうとすればどこかで雇われるしかない時代になってしまったことがニートやフリーターの増加の背景にあることは確かです。家業を手伝うなら「負け」とは感じないでしょう。「働いたら負け」と感じるのはキャリアとは考えられない仕事に雇われる場合ではないかと思います。

そのキャリアになり得る安定した常雇(常用雇用)の場が減り始めました。常用雇用者は1997年まで一貫して増えていました。その後7年間で82万人も減っています。代わりに増えているのは臨時です。ここ10年間で424万人から631万人にまで増えました。1.5倍です。男性だけに限ると120万人から205万人へ、1.7倍です。

なお、労働力調査で使われている言葉の意味や調査の概要を詳しくお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/1.htm

もう一つが二極化、職業の二極化です。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt06.xls

こちらは、やや複雑です。職業はいろいろな分類が可能ですけれども、キャリアと考えられるかどうかで分類してみようと思います。

ほぼ確実にキャリアになっていると考えていいのは、「専門的・技術的職業」と「管理的職業」でしょう。

キャリアとなっている可能性がひくいと考えられるのが「労務作業」です。

この中間に「事務的職業」(ホワイトカラーです)、「製造・製作・機械運転及び建設作業者」(ブルーカラーです。)、「販売」などがあります。「保安・サービス職業」は微妙です。この中間の職業からは、「専門的・技術的職業」と「管理的職業」へのルートがかなりの広さで開けています。

そして、職業の中で一貫して増えているのが、「専門的・技術的職業」と「労務作業」なのです。2004年では二つをあわせると1,280万人で職業に就いている人の2割強です。これが職業の二極化です。

事務は1998年までは増えていたのですが、その後減りました。2003年、2004年は少し盛り返しています。販売はパートタイム労働者が増えているので人数が増えているように思われていのですが、実はここ3年で67万人減ってしまってしまいました。「製造・製作・機械運転及び建設作業者」は1992年の1726万人がピークで、その後は減り続けています。

なお、「保安・サービス」はずっと増えています。「管理的職業」は事務に5年先立って1992年をピークに減ってきていました。そして「事務」に1年遅れて2004年に4万人だけですが回復しました。

仕事の分類についてはこちらをご覧ください。

http://www.stat.go.jp/index/seido/9-2.htm#i

申し訳ないですが、この分類と労働力調査で使っている職業の分類の対応関係が、今ひとつわかりにくいです。統計局が、もう少し詳しく注を書いておいてくれるといいのにと思ってしまいます。

「専門的・技術的職業」につくには、かなりの学歴を要求されることが多いのです。今、技術者と呼ばれるためには、大学院の修士課程を修了していなければならないでしょう。

このような状況では、学歴を獲得できなかった若者が「仕事をしたら負けかな」と言い出すのも無理はないのかもしれません。

人気blogランキング

↑クリックお願いします。