児童手当 その3

 今朝の日本経済新聞朝刊の「少子化に挑む」でフランスの出生率が1.6から1.9に上がったことと子供手当てを結び付けて紹介していました。日本で高額の児童手当を作ると、子供を持つ家庭の負担軽減になるのは確実です。一方、少子化に効果があるかどうかは、はっきりした結論は得られていません。さまざまな社会のあり方、経済状況が異なるフランスなど外国の例が、日本にもそのまま当てはまるかどうかは分かりません。また、日本の現在の低額の児童手当の効果が、高額化したときにどのように変わるかも予測がつかないからです。

 少子化対策への効果については、専門家にお任せし、ここでは、「高額の児童手当を作ったとき、負担軽減、少子化以外にどのような影響が出るのか」を考えてみたいと思います。

 これを考えるとき、児童手当制度の姿を想定しておかないと議論ができません。民主党岡田代表の岡田ビジョンでも、制度のあり方は詳細には明らかにされていないので、岡田案を補足した次のような制度を前提にすることにします。

 支給金額:子供一人につき月額4万円

 支給期間:18歳まで

 支給対象:子供の扶養者全員

  つまり所得制限はかけません。かけると所得補足率などややこしい問題が生じ、制度が複雑  化して支給の事務コストが高くなります。

 課税:総合課税

  非課税にすると高額所得者に有利になりすぎ、国民の理解が得られないでしょう。

 財源:消費税の引き上げ

  ストレートに児童手当税として消費税と同じ枠組みで課税することもできます。この場合、少子化対策として成功すれば、税率は上がり、失敗すれば税率は下がっていくことになります。こちらのほうが、はっきりしていて、国民の理解は得られやすいかもしれません。

 一番はっきりした波及効果は、子供を持つ女性が、パートに出なくなりそうだということです。子供一人だと年間48万円。103万円の壁を考えると残りは55万円。二人だと96万円。残りは7万円です。

 厚生労働省の賃金構造基本統計(http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data15/31301.xls)から試算すると30歳から49歳の女性の所定内給与月額は9.5万円から10万円ですから、子供二人の場合の8万円あると、家にいるほうを選ぶ女性がかなり出でそうです。児童手当の月額を5万円にすればもっと効果が大きいでしょう。

 パートタイム労働者の多い小売店、飲食店、サービス業などでは、相当な影響が出るでしょう。

 すると、どうなるのでしょう。ひとつの対応は主婦から若年者に切り替えるということです。フリーターやニートが大勢いる現在、悪いことではないかもしれません。もうひとつは、供給が減ったパートタイム労働者の時給が上がるだろうということです。フルタイム労働者との格差は縮まるでしょう。母子家庭の母や、子供がいないか、いてもパートを続けると決めた女性にとっては朗報でしょう。

  長くなりました。今日はこの辺で。