平均賃金と労働市場

平均賃金」を少し改訂しました。

これまではフルタイムで月給制で働き、月に26万円の給与を得ている労働者が一人、時間給制で月100時間働き10万の賃金を得ているパートタイム労働者が一人いたとする。二人合わせると賃金の合計は36万円なので、平均賃金は18万円であった。

ここで労働市場が好転し、これまで働いていたパートタイム労働者がもっといい口を見つけて転職し、辞めてしまったとする。そこで、補充をしようとしたが、これまでの条件では見つからない。やむを得ずこれまで敬遠してきた短時間しか働かないパートタイム希望者を5人雇うことにしたとする。一人当たりの労働時間は20時間であとしよう。

フルタイム労働者の賃金に変化はないが、パートタイム労働者一人当たりの労働時間が減り、月20時間働き、賃金2万円を得る労働者が5人になったことになる。合計の賃金は36万円で変わらないが、人数は6人に増えている。平均賃金は6万円に減る。

これを賃金が下がったとみて、企業のコストが下がったと考える人はいないだろう。賃金が下がったから物価が下がるはずだという人もいないだろう。平均賃金が下がったといっても賃金の総額は変わっていないから、消費が落ち込むはずもない。

毎月勤労統計の賃金とは、ここで示した平均賃金であり、労働時間の変化を無視してその増減だけを見ていると、労働市場の実態を見誤ることになる。

人気blogランキングでは「社会科学」の4位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング