2015年度の税収予想(9月実績から)

9月分が発表されました。所得税と消費税は好調です。法人税は不調です。この三つを合わせると好調です。好調すぎるのかもしれません。 9月までの税収の動き(百万円)
項目所得税法人税消費税
実績(A)7,792,256590,0444,624,544
昨年度同期実績(B)6,806,356885,8223,369,291
倍率(C)=(A)/(B)1.3050.6661.373
昨年度決算額(D)16,790,22711,031,60816,028,958
今年度予想(E)=(C)×(D)21,911,2467,746,65122,007,759
今年度予算(F)16,442,00010,990,00017,112,000
超過予想(G)=(E)-(F)5,469,046△3,243,3494,895,759
新月までの実績が昨年同期に比べてどれだけになるか、その倍率を計算し、その倍率を昨年決算額にかけて予想を出しています。昨年度の消費税の実績は税率変更の影響があるようです。税率を引き上げてもその税金が納められるのは少し後です。そのためこのような方法で予想すると、予想がやや過大になっているかもしれません。 このように予測をすると、所得税法人税、消費税で予算を7兆1,215億円超過することになります。「2015年度の税収予想(8月実績から)」での予想から大幅に増加しました。三税とも見込みが前回よりも上方修正になっています。 上の表を見ていただければわかるように、所得税法人税は今年度の税収が昨年度の実績を下回ると見積もられています。非現実的といわざるを得ません。 消費税の軽減税率の問題や、プライマリーバランスの黒字化目標を達成するための消費税率引き上げの議論を、当初予算での見込みに基づいて行うことは危険です。 税収の増加は喜ばしいことではありますが、現実には景気にマイナスの影響を与えます。過少な見積もりに基づいて過大な税率の引き上げを行い、景気を悪化させ、結果として税収が減り、景気対策のための支出が増えかねません。正確な予測が無理であるにせよ、途中までの実績を無視するべきではありません。 (注) 法人税は税率が25.5%から23.9%へ引き下げられており、課税所得が同じであれば税収は6.7%減るはずです。ただこのほかにもいろいろな改正が行われており、こう簡単ではありません。 国税としての消費税の税率は6.3%です。他に地方消費税のものが1.7%あり、これを合わせて普通税率8%と言っています。これまでは国税4%、地方税1%でした。この点から見ると税収はもっと増えてもいいのかもしれません。なお、平成29年(2017年)4月から、消費税率は、1.238倍の7.8%へ、地方消費税率は2.2%へそれぞれ引き上げられます。https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h27kaisei.pdf (2015年11月6日追記) ここで行った単純な手法とは異なる方法で推計したのが次のものです。参考になると思います。一読をお勧めします。手法は異なりますが、予算での見積もりが大幅な過少になっているという点では一致しています。 「2015年度の税収は4.4兆円上ブレ」 人気blogランキングでは「社会科学」の17位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング