乗用車と貨物車の明暗 (4月の自動車(登録車)販売)

財やサービスは、昨年4月の消費税率引き上げによる価格が上昇しています。昨年4月から今年3月までの統計で対前年同期比を見ると、価格引き上げ前の時期と引き上げ後の時期を比較することになります。したがって価格に断層ができた特殊な時期の比較になります。4月からはすでに引き上げられた後の期間同士の比較になります。消費税率引き上げの価格水準への永続的な影響はありますが、対前年同期の変化には税率引き上げに伴う価格変化の影響はなくなります。基本的には、統計は普通に読めばいいことになります。 しかし、耐久消費財や耐久性のある生産財は、消費税率引き上げに反応してリーズアンドラグズが発生しています。昨年4月の購入は大幅に減っているはずです。また、前倒しで購入された結果、新たな購入はかなりの期間抑制されると考えるべきでしょう。 なお、普通は耐久消費財とは考えられないタバコなど、ある程度保存できるものでも、昨年4月の購入は減ったと考えられます。 日本自動車販売協会連合会(自販連)が、4月の自動車販売台数を発表しました。http://www.jada.or.jp/contents/data/hanbai/index12.html これを一昨年4月と比較してみます。消費税率引き上げの永続的な効果と前倒し購入の反動の効果が生じていると考えられます。 4月の自動車販売(台、%)
種類2013年2015年
普通乗用車91,03981,909△9,130△10.0
小型乗用車96,58088、331△8,249△8.5
小計187,619170,240△17,379△9.3
普通貨物車7,8419、7211,88024.0
小型貨物車16,80417、4726684.0
小計24,64527,1932,54810.3
バス901938374.1
合計213,165198,371△14,794△6.9
乗用車の減少と貨物車・バスの増加というはっきりとした明暗が見て取れます。業務用がほとんどを占める貨物車・バスは景気の回復に合わせて購入が増えています。おそらく、ドライバーの不足という事情があり、あまりにも古い車では人手を集められない、ドライバーの不満が募り、逃げられてしまうといった事情のあるのではないかと思います。古い車で事故が起こるとドライバーはもちろん困ります。会社に取っても負担です。運送会社、運送部門では設備投資が始まっているのではないかと思われます。 企業が使っている乗用車でも同じことが起こっているのではないかと想像できますが、家庭が使うものについてはまだしばらく購入抑制が続いているようです。昨年3月までに買った車が買い替え時期を迎えるまでは続く可能性があります。 もっとも、17年4月の消費税率の引き上げ前には、また、リーズアンドラグズが発生するでしょうから、その影響を考えなければなりません。 人気blogランキングでは「社会科学」の11位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング