「少し別の見方その2 協調の失敗」について

少し別の見方その2 協調の失敗」について二つ補足をしておきます。 まず、協調の失敗により長期不況に落ちいった場合、これは一つの(Nash)均衡なので、価格調整により望ましい持続的成長経路に移ることはありません。さまざまな規制を緩和して、価格メカニズムを働かせるようにしても、予想が変わらない限り、効果はありません。 もう一つは、過去に春闘が果たしてきた役割です。合化労連の太田薫氏は春闘を始めた1955年に「暗い夜道をみんなで渡れば怖くない」と言ったそうですが、金属労協、化学、私鉄、三公社五現業、国家公務員、地方公務員、最低賃金とつながる全産業的な交渉が行われていたことは、当事者の意識にはのぼっていなかったかもしれませんが、労使間で共通のポジティヴな予想形成、多くの企業での賃金上昇と消費の増加という予想の形成、に役立っていたと思われます。 理由はいろいろ考えられますが、労働組合が弱体化し、あるいは労働側に不利な情勢が続いて春闘のメカニズムがうまく機能しなくなったとき、あるいは、逆に共通のネガティヴな予想の形成が行われたとき、協調の失敗が起こる可能性が高くなってしまったと考えられます。この意味では政府の介入は合理的であるといえるでしょう。 こう考えると、持続的成長経路に乗れば、賃金交渉への政府の介入はやめられるということになるでしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」では番外でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング