参議院選挙の戦略

産経新聞によると、民主党海江田万里代表が2013年1月4日昼、記者会見し、夏の参院選に挙党態勢で取り組み、党の再建を図る考えを強調した。「参院選に全力を傾け、立ち直りの年にする。自民党公明党議席を一つでも少なくさせる」と述べたそうです。

 また、通常国会での野党共闘については「第1党の民主党が軸にならねばならない」と意欲を表明。「自民に圧勝させないとの共通の思いが野党にある。小異を残して大同を目指したい」とも述べ、対自民で結束したいとの考えも示したそうです。

具体的に示されていないように思えるので何が大同なのかが気になります。もし、「自民に圧勝させないとの共通の思い」が大同なら、これは、「労働組合の「浮気しますよ」戦略」で述べた「現職以外大連合」ならぬ、現与党以外大連合になります。確かに、参議院でも一人しか選ばない一人区が多いので、わからないではないのですが。

また、私が全く思いつかなかった革新共同名簿という案を松尾匡先生が出されています。先生のホームページから引用すると次のような案です。

どういうことかと言うと、非拘束名簿式の比例代表制では、名簿に載っている個人への投票が、その名簿党への投票になって政党への議席配分をもたらす一方、名簿内での当選の順番が、各個人の得票で決まることになっています。

 ということは、極端に言えば、全然政策のかけ離れた人々が同じ名簿に載っていてもかまわない。いや、その方がかえって名簿の得票が増える仕組みにさえなっているということです。例えば、橋下さんと志位さんが同じ党の名簿に載れば、党はそれぞれまったく重ならない支持者から票を集めることができて、支持者が重なる同じような傾向の人ばかり並べた場合よりもトクになります。名簿登載者間で、罵詈雑言批判し合ってもかまわない、かえってその方が票が掘り起こされて名簿全体の得票が増える制度なのです。

 この特徴を考えれば、今度の参議院選挙では、未来の党社民党新党大地沖縄社会大衆党も、できれば共産党も、みんな一つの共同名簿にまとまって立候補すべきです。

 このとき、参加各党は、自分の党がなくなってしまう心配をする必要はありません。どこか一党に主導権を握られる心配をする必要もありません。

 そもそも、執行部もリーダーもおく必要はないのです。

 未来、共産、社民等の参加各党の内部では、「関東は○○さん、関西は△△さん」などと、きっちり地区割りをして、自党メンバーの各個人候補に投票するように運動すればよいのです。これは、比例代表制が導入される以前に、全国区で各党がやっていたことと同じです。そして、公然と参加各党の名前を出して、参加党どうし互いに批判しあっていいわけです。

 このとき、どんなに批判しあったとしても、名簿全体の得票にマイナスになることはありません。

 各党がバラバラに立候補したならば、どの党も一議席もとれないということも今の情勢ではあり得ます。同じような政策を支持している人々の票が、それぞれの党の得票で端数になってしまって、非効率な死票になってしまうのです。しかし形式的に一つの名簿にまとめておけば、端数がまとまって当選枠が増えるので、どこかの参加党のメンバーの当選にはつながります。それが自分の党になるように、各自がんばればいいだけです。たとえ地区割りの失敗をしても、名簿全体の得票にはマイナスになりません。

 それで、選挙後、当選した議員は、参加各党の会派名を名乗ればいいことになります。

 もし、共同名簿の枠組みを残しておくならば、その決定機関のメンバーは、「個人候補の得票上位~人」と決めておけば、陰にこもった人事抗争なく、公明正大に選ぶことができます。

 以上の仕組みは、各党にとって、まったくウィン・ウィンの選択であって、何も損することはありません。妥協も犠牲もない。得ばかりです。やらない手はないと思います。http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__121222.html

 比例区の選挙システムの特徴をうまく利用された非常に興味深い案です。ちょっと気になるのは、先生が革新と呼ばれる政党以外の組み合わせでも、問題なく活用できるアイディアであることです。現与党と共産党以外共同名簿ということもあり得るかもしれません。

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