神戸女学院

hamachanさんが「『就活に喝』という内田樹に喝」」で神戸女学院について触れられています。論争に参加するつもりはありませんし、神戸女学院に世話になったことがあるわけでもないのですが。 おそらくhamachanさんは、関西で暮らしたことがないのだろうと思われるので、参考までに。なお、ご存じない方のためにあえて言うと、神戸女学院は私立大学です。 前置きですが、国立大学とは異なり私立大学には、建学の理念に基づいて入学者を選別する自由があるでしょう。また、大学としての最低条件さえ満たしていれば、教育方針も自由に決められるはずです。ですから、「就職希望の人はお断り」というのも自由でしょう。また、「就職なんていう下賤な進路じゃなく、花嫁修業としてお茶、お花と同列でお文学をやるお嬢様御用達の大学」があったって一向に構わないのです。 さて、問題の神戸女学院とは、どんな建学の理念、教育方針(http://www.kobe-c.ac.jp/about/idea.html)を持っている所かと言いますと・・・・。 教育理念リベラルアーツ&サイエンス 校章の三つ葉は「身体・精神・霊魂」の調和的発達を表しています。「解放された人間」として、幅広く、バランスのとれた知性と理性と判断する力を身に付け、「ふさわしい自分の原像」を見いだす人間の礎を、神戸女学院で築いていただきたいと願っています。 国際理解 国際理解とは、異質なものの受容をも意味します。他者との共生を志すこの精神は多様な価値の渦巻く現代の鍵語です。神戸女学院は創立以来この意識を育んできました。英語力の養成、海外の大学・諸機関との交流、多彩な留学プログラムなど、具体的な機会も多数設けています。 キリスト教主義 「愛神愛隣」の標語のもと、神戸女学院ではキリスト教に基づく教育を実践してきました。神から託された責務にどのように応答するか、向かい合うものに対する当事者意識をどのように養い、隣人と出会い、ネットワークを創出するか。各自に与えられた力を紡ぐ共同性を体得します そして、学長さんのメッセージをみると、こう締めくくられています。 人間の社会は、効率を求めるあまり、人を専門知識や技術のつまった道具とすることが珍しくありません。本当に残念ですが、私たちもそれを普通と思っていないでしょうか。人間としての成熟を、物的なものにすり替えていることはないでしょうか。神戸女学院は、それらに流されることなく、キリスト教主義の伝統に立って、人間の望ましい原像を追い、示し続けてきました。また同窓会(めぐみ会)と協力し、卒業後もその心が生きるよう配慮しています。これからも変わることなく、そのメッセージを発信し、その担い手を送り出していきたいと願っています。 就職状況の説明は、こうなっています。 マスメディア、経済、国際・福祉関連、作家や教師。神戸女学院では、これまで多くの卒業生を社会の第一線へと送り出してきました。人気企業50社への就職率を見ても関西の女子大学のトップ。これは、大学での4年間に培われた“自ら考え提案し行動できる能力”が、社会から必要とされ認められていることの証でもあります。またキャリアセンターをはじめとするきめ細かなバックアップ体制も、夢の実現への大きな牽引力になっています。 まあ、就職を下賤な進路と考えている気配はありません。 しかし、就職は結果であり、本来の目的は、効率を求めるあまり、人を専門知識や技術のつまった道具としてしまうような社会ではなく、人間としての成熟を、物的なものにすり替えることなく(つまり、所謂いい就職先に過度にこだわらず)、キリスト教主義の伝統に立って、人間の望ましい原像を追うという生き方をする人間、「解放された人間」として、幅広く、バランスのとれた知性と理性と判断する力を身に付けたかつけようとする人間を送り出すことです。 そのための教育をしているのですから、「所謂いい就職最優先の方も入学してもいいですが、入ればいい就職最優先という考え方を改めてもらうような教育をしますし、所謂いい就職最優先という活動をする方への便宜は図りません。期待しないでください。」ということでもいいのではないでしょうか?「そんな理念なんて建前だけだろう。」と言ってしまえばそれだけかもしれませんが。 人気blogランキングでは「社会科学」の57位でした。↓ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング