「
3号被保険者制度は不公平か?」で、「働いているときの所得の格差を老後の年金格差に持ち込まないようにするためには、第3号被保険者制度が必要なのです。」と書きました。
これは、次の三つの原則を同時に満たすためです。
第一の原則 所得に応じて費用を負担する。第2の原則 個人レベルでの負担に応じた給付と老後の所得格差の是正
第二の原則
○負担が同じなら給付も同じ。負担が少なかった人は、年金も少なく、多く負担した人には多めの年金を払う。
●働いていたときの所得格差より、老後の年金の格差を小さくする。
第三の原則 二人合わせた所得が同じであった夫婦(第1の条件から二人合わせた支払った保険料が同じ夫婦です。)の年金額は、どの夫婦をとっても同じ。
そして、年金の保険料を所得に正比例させ、年金も保険料に正比例させると、つまり年金を所得に正比例させるような仕組みだと、「●働いていたときの所得格差より、老後の年金の格差を小さくする。」ことができないことも説明しました。
正比例年金制度にあるこの欠点を補うために、所得が低く、保険料が安く、年金が少ない層には
保険料ではなく税金で追加的な年金を支払うことにしたらどういう結果になるでしょうか?
実は、「第三の原則 二人合わせた所得が同じであった夫婦(第1の条件から二人合わせた支払った保険料が同じ夫婦です。)の年金額は、どの夫婦をとっても同じ。」が満たされなくなります。
考えていきましょう。一人ひとりの年金についてこういう仕組みを考えます。保険料は年金に正比例しています。所得正比例年金も保険料に正比例しています。この年金は、その名の通り所得に正比例します。所得に対する年金の割合は50%にします。これだけでは所得の低かった人は年金はその分だけ低くなってしまいます。特に所得ゼロの人の年金はゼロ、つまり無年金になってしまいます。これを是正するために、所得ゼロの人には、税金で20の追加年金を払うことにします。所得ゼロの人だけに支払うと、他の低所得の人と年金額が逆転してしまうので、低所得の人にも追加年金を払います。追加年金の額は所得正比例年金が増えるにつれて減らしていき、所得正比例年金が40になるとゼロにします。
これを表にすると次のようになります。
一人ひとりの年金個人の所得 | 保険料 | 所得正比例年金 | 追加年金 | 年金合計 | 年金÷所得 |
---|
200 | 100 | 100 | 0 | 100 | 50% |
180 | 90 | 90 | 0 | 90 | 50% |
160 | 80 | 80 | 0 | 80 | 50% |
140 | 70 | 70 | 0 | 70 | 50% |
120 | 60 | 60 | 0 | 60 | 50% |
100 | 50 | 50 | 0 | 50 | 50% |
80 | 40 | 40 | 0 | 40 | 50% |
60 | 30 | 30 | 5 | 35 | 58% |
40 | 20 | 20 | 10 | 30 | 75% |
20 | 10 | 10 | 15 | 25 | 125% |
0 | 0 | 0 | 20 | 20 | ∞ |
次回は、この仕組みのもとで、夫婦の年金がどうなるかを考える予定です。
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