所得正比例年金+追加年金制度はどうか? その2

所得正比例年金+追加年金制度はどうか?」で表にした「一人ひとりの年金」の仕組みで、夫婦の年金がどうなるかを考えてみます。 夫婦二人の所得は、どのケースでも同じ200ですが、夫の所得、妻の所得にいろいろな組み合わせがあります。これを比較します。なお、夫婦の所得が同じなので夫婦で払う保険料はどの組み合わせでも同じです。その額は100です。 これを表にすると次のようになります。 夫婦の年金
夫の所得妻の所得二人の所得正比例年金追加年金二人の年金合計年金÷所得
2001002012060%
180201001511557.5%
160401001011055%
1406010010552.5%
1208010010050%
10010010010050%
8012010010050%
6014010010552.5%
401601001011055%
201801001511557.5%
2001002012060%
見ていただければわかるように、「第三の原則 二人合わせた所得が同じであった夫婦(第1の条件から二人合わせた支払った保険料が同じ夫婦です。)の年金額は、どの夫婦をとっても同じ。」は満たされません。 はたして、高額所得者の配偶者で、所得のなかった人に負担なしの給付、負担をはるかに超える給付を行うというシステムが維持されるでしょうか? このような年金は個人を単位としてみれば低所得層にやさしいシステムです。被保険者のうち低所得層には、保険料を相当超える年金を支払うのですから。一人暮らしのの生活費は、二人で暮らしているときの一人分よりも高くなりがちです。低所得の一人暮らしにとってはいい制度でしょう。 また、高所得者にとってもいい制度かもしれません。保険料で賄われる所得正比例年金の内部では再分配が行われませんから、所得が高い分だけ年金も高くなります。問題は、追加年金を賄うための税の負担が高所得層と中所得層、低所得層でどのように配分されるかです。 ただ、夫婦という単位で考えると、妻(夫)はフルタイム働くよりもより、パートタイムか専業主婦(主夫)をするほうが、年金の所得代替率だけをとると有利です。働き方に中立的な年金制度とは言えません。 やや気になるのは、長期間にわたって景気が悪く、その結果所得が低い方が増えた場合です。この場合、追加年金の受給者は急増し、支払額も増加します。こういう事情のときは税収も少なくなっているでしょう。その時、多額の税金を追加的年金に投入しなければならないというのは、なかなかつらいでしょう。少ない税収から年金に投入すれば、他の支出項目は圧迫されます。その時、それでも低所得者には優しくしようという、国民的合意が維持されるでしょうか? ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング 人気blogランキングでは「社会科学」では75位でした。