「ホントに年金もらえるの?」について

ホントに年金もらえるの?」で、日経新聞のこういう記事が紹介されています。

1940年、1955年、1970年、1985年生まれと、15年毎の世代別に、支払う保険料総額と受け取る年金の総額が記載されています。

既に年金を受給開始している1940年生まれの人は、平均寿命まで生きたとすると、支払った保険料総額の6.5倍の保険金を受け取ることになるそうです。これに反して、1985年生まれの人は2.3倍にしかならないとの予想です。

そして、こういうご意見を書かれています。

年金制度は複雑ですが、老後の生活を支える非常に大事な仕組みです。年金以外の自助努力ももちろん必要ですが、年代間の格差をなくし、安心して老後を迎えるよう制度を整備し、運営すべきだと思います。

このご意見に賛成です。

公的年金というのは、親の世代の老後の生活を子供だけでみるのではなく、次の世代全体で見ようという制度です。

子供が見るというやり方だと、子供は親の面倒をみるための費用を払わなければなりません。そして自分でためた老後資金と子供からの助けで生活をします。

要約すると、

若い時の負担=親の面倒をみる費用+自分の老後用の貯金

老後の受取=子供からもらうお金

です。

年金制度だと

若い時の負担=年金保険料

老後の受取=年金

です。

どちらもある意味ではバランスしていますが、初めて年金制度ができ、成熟していく過程では無理が生じます。

最初のころの加入者を考えると、保険料は払わなければなりませんが、自分の親には年金がないため、親の生活も見なければなりません。こうなります。

若い時の負担=親の面倒をみる費用+年金保険料

老後の受取=年金

この世代について年金保険料と年金がバランスするように制度を作るとすると、次の二つに一つです。

(1)若い時の負担が過大とならないように、年金保険料を低く抑える。

 この場合、老後の年金が少なくなります。そこで次の世代も親の面倒をある程度見なければならなくなります。すると、次の世代でもある程度年金保険料を抑えることになり、やはり老後の年金は少なくなります。するとその次の世代も・・・・・となります。

結果的には、非常にゆっくり年金制度を成熟させていくことになります。成熟がかなり進むまでは、年金の役割は限定されたものになるでしょう。

(2)若い時の負担が過大となっても、老後の年金に見合う年金保険料をとる。

 年金制度は、相当なスピードで成熟します。が、若い時生活できません。親の面倒を見ながら、年金保険料を支払わなければならないとしたら、子育てに回せる費用は少なくなります。

どちらも難点があります。そこで選ばれたのが、最初の世代について年金だけをとると保険料に見合った額以上の年金を支払う制度を作り、徐々に保険料と年金のバランスを取るように変えていくという路線です。

「若い人に不利な年金」というのはこういう路線の結果です。年金制度外で親の面倒をみている分を計算に入れれば、極端な差は付いていません。

「1985年生まれの人は2.3倍にしかならない」かもしれませんが、ご自分の子供時代は、ご両親(多分1950年から1960年ぐらいに生まれた方です。)の年金保険料が安かったおかげで、生活が助かっていたはずですし、ご自身が働いているときは、ご両親が「有利な」年金を受け取るおかげで、将来仕送りせずに済むはずです。

みんなの老後をどう支えるか、が本質的な問題で、年金制度も全体の中で位置付けなければなないと思います。その意味では、年金制度だけの損得勘定は有害無益です。

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