社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その24

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その23」までで、「2.2 資産価格と資本蓄積」を終わり、今回から、「2.3 新古典派成長モデルの実証的含意」に入ります。 今回は、この2.3全体を通じて前提されていることについて説明をしておきます。前文と「3.3.1 行動方程式からみた経済体系」に対応します。 まず、ここでは2.3で証明されたように経済が鞍点経路上か定常状態にあることが前提とされています。 次に消費関数と投資関数という二つの行動方程式(bahavior eqation)により、消費行動と投資行動が説明されます。消費関数、投資関数という考え方は、社会人にとってはなじみの深いものですが、ケインズ経済学で前提とされたものとはかなり違う関数になります。 そして、消費関数から有名な「リカード立命題」が導かれます。また、投資関数から、「モジリアーニ=ミラー定理」が導かれます。この辺りは、社会人にとって納得しがたい説かもしれません。その理論的根拠が明確になりますので、非常に面白いと思います。このテキストを読んできて、ようやく、現在の経済学論争の理論的前提が理解できるようになってきます。 次が、「実物的景気循環論への応用」です。これも「予期しないショック」とか、最近の議論に直結しています。 さて、ここでは、重要な仮定があります。 一つ目が、「諸価格を所与として家計が行動する完全競争均衡」です。これは学部のミクロ経済学で習ったことなので理解しやすいと思います。 ここでの価格は、次の三つです。 1 財価格p 2 実質賃金w 3 実質利子率rt+1 この実質利子率は減価償却δを控除した後の資本財のレンタル料xと定義されています。rt+1≡xt+1-δ 二つ目が、「家計は現在の価格ばかりではなく、それぞれの財の将来価格も合理的に予見している」ということです。 したがって、tt+1t+2・・・・・と無限の将来にわたり、上の三つの価格は家計にとって所与であるということになります。 ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング 人気blogランキングでは「社会科学」では37位でした。