市場化テストとストライキ

ハローワークの市場化テストとインセンティブスキーム その11」に関連して。 hamachanさんが、「市場化テストとストライキ権」で、こんなことを書かれています。 行政改革推進本部専門調査会の第11回(6月29日)の議事概要が公開されていますが、 http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai11/gijigaiyou.pdf この中でいささか聞き捨てならない台詞がありました。 >市場化テストの導入により、労働法制の異なる民間と公務員が同じ業務を行う事態が生じているが、この労働法制についてどのように設計したのかとの質問に対し、公共サービスをより低廉で効率的にということで制度化したものであり、労使関係そのものについて公共サービス法で規定していない、民間事業者にストライキ等何か不都合があって契約を解除する場合には、官がやるなり官民で入札を行うなりの措置で肩代わりすることになる、との説明があった。 市場化テストの結果、ハローワークの仕事を民間事業者に委託した場合、民間事業者の社員はストライキ権を持っていますから、当然ストが起こった場合のことも考えておかなければなりません。 社員のストライキによって民間事業者がサービス提供を行えなかったとき、契約を解除することの是非の議論はhamachanさんにお任せすることにして(hamachanさんには、ロックアウトの議論もお願いしたい。)、「説明」の中には私も聞き捨てにできない部分があります。 「民間事業者にストライキ等何か不都合があって契約を解除する場合には、官がやる」って、どうやって官がやるのでしょうか? 公共サービスを提供するためには、人手が必要です。「公共サービスをより低廉で効率的にということで制度化した」のですから、官が官民競争入札で負けて民に任せた段階で、公務員は削減されていなくなっているはずです。極端な場合、ハローワークの業務をする公務員がゼロになっているかもしれません。どうやって、「官がやる」のでしょう。アルバイトでも雇うのでしょうか? また、「官民で入札を行うなり」と言ったって、官は公務員を削減されてしまっていますから、業務をこなす力はなくなっています。入札に応じることはできません。 結局、入札で民間事業者に任せることになりますが、この場合、予算がどこから出てくるのでしょう?「民間事業者にストライキ等何か不都合があって契約を解除」しても、ある程度しか金は返ってきませんし、返ってきたとしてもずっと後からかもしれません。そもそも、こういう緊急の場合、調達コストが高くなるおそれが大きいでしょう。 また、入札にはそれなりの時間がかかるので、その間どうするかも考えておかなければなりません。 少なくとも、契約を解除した場合は、倍返しというルールを定めておくとか、保証金を積ませておくとか、何か現実的な手当が必要でしょう。 ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング 人気blogランキングでは「社会科学」の22位でした。