終わりよければすべてよし・・・とは行かないけれど その2

さて、晩婚化が進むにつれて、出産の時期も遅れてきました。 男女の平均初婚年齢と第一子出産時の女性の平均年齢(歳)
男性初婚女性初婚年齢第一子出産年齢
1965年25.7
1975年25.7
1985年26.7
1991年28.425.9
1995年27.5
1996年28.526.4
2001年29.027.2
2003年28.6
2004年29.627.828.91.1
2005年29.828.029.11.1
2006年30.028.229.21.0
この場合には「終わりよければすべてよし・・・とは行かないけれど」で説明した期間合計特殊出生率は低下していきます。ここで問題なのは、では、遅らせはしたけれど、最後には生むのか、それとも、遅れてしまったからもう生まないのかです。産めるぎりぎりの年齢になったら産むということであれば、ある時期がくれば期間合計特殊出生率は回復します。しかし、そうではなく、出産時期が遅くなったからもう産まない、産めないということであれば、低下したままになります。 これまで、期間合計特殊出生率の今後の動きについて二つの見方がありました。一つは、悲観論で、出産そのものが減ってしまったので期間合計特殊出生率は下がったままになる、こういう見方です。もう一つの見方は楽観論です。夫婦が子供を望まなくなったわけではないし、出産時期の先延ばしには限界があるので、いずれは産み出す、そして、合計特殊出生率はある程度回復するだろうと見るものです。 実は、夫婦になってから15年から19年たったときの子供の数は1970年代から2000年ぐらいまで2.2人程度で安定していました。2.1人を割ったのは2005年になってからです。これを根拠に「いずれ回復論」がかなり有力でした。 結婚持続期間15年から19年の夫婦の平均出生児数(人)
出生児数
1972年2.20
1977年2.19
1982年2.23
1987年2.19
1992年2.21
1997年2.21
2002年2.23
2005年2.09
悲観シナリオの根拠は二つあります。一つは、晩婚化ではなく生涯未婚の男女が増える。→夫婦が減る。→夫婦の持つ子供の数が不変でも子供が減る。二つは、夫婦が最終的に持つ子供の数も減る。これは2005年の数字が根拠です。このダブルパンチで子供が減るのです。この2005年の数字が一時的なものなのか、このまま続くのか、大きな問題です。 今回の回復については、一時的なものであるという見方が多いようですが、四つの理解があり得ます。 1 偶然、出産が増えたのだ。 2 景気が回復し生活のめどがついてきたので、出産が増えたのだ。 3 産む時期の先延ばしが限界に来たので、出産が増えたのだ。 4 女性の出産に対する気持ちが変わったから、出産が増えたのだ。 私は1では3万人もの増加は説明できないだろうと思います。 2は十分にあり得ます。というのは今回20歳から44歳までの女性の期間合計特殊出生率がすべて上昇しているからです。ここのところ20歳から29歳の期間合計特殊出生率は低下傾向にあったのが反転したのは、景気回復の影響もあったと考えられます。 3も正しいのではないかと思っています。35から39歳の女性の期間合計特殊出生率が、前年に比べ0.0125ポイントも上がっています。40から44歳の上がり方も0.0044ポイントと大きいです。元が0.0242ポイントですから、18%の増加です。 実は、不妊治療の情報がオープンに出回るようになり、多くの30代の女性が、いつでも子供を産もうと思えば産めるわけではないと言うことに気づいたせいだということかもしれないと思います。 4は、よくわかりません。女性の生き方に単一のモデルがあった時代は終わっています。時代の風というものがあるのは事実なので、この説を否定することはできません。しかし、確たる証拠もありません。 生涯未婚の男女が増えるのか? 夫婦の持つ子供が減るのか?次回の出生動向基礎調査の結果が楽しみです。 人気blogランキングでは「社会科学」の42位でした。↓ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング