「
シングルマザー その1」で、お金の話をして、今度は就労の話を書こうと思っていたのですが、少し寄り道をします。
「
努力と人間についてのメモ」に、
政治学者の卵さんが、こうコメントされています。
「本来ならば子供の養育費を支払うべき父親は何をしているのか,という点は無視すべきじゃない.離別だったら,たとえば政府は養育費取立ての実効性を強化して,政府が税金から支援しなくても,本来責任を持つべき人物(つまりは父親)に責任を取らせることをまず重視すべきじゃないでしょうかね.この件でも子供の父親はどうしてるんでしょうか?もし彼女が「あんな相手とは二度と接触を持ちたくない」とかという理由で,取れるものをとっていないのであれば,それは彼女自身があえて貧窮への道を選んでいるのであって,その選択に対して僕らの税金から支援しなければならない道理は無い.」
これに対するdojinさんの回答は、こうです。
「現実的な話として、政府が強制的に父親から養育費を徴収して母子家庭に回してくれるのならばそれでいいのでしょうが、なかなかそういうことはできないのでしょう。だから母親が父親に頼んで毎月送金してもらうということですが、それは
政治学者の卵さんがおっしゃるように、なかなか上手くいかないことが多いのでしょう。それを『あえて貧窮の道を選んでいる』とまでいえるかどうかは、ケースバイケースでしょうね。」
実は、私は政府が行動する余地はあるのではなかろうかと疑っています。が、その前に、確かめなければならないのは、父親が生きているかどうかです。死んだ人間からは取り立てようがありません。
その他、母子世帯の状況を調べているのは、
厚生労働省の「全国母子世帯等調査」(
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexkk_26_2.html)です。
まあ、全部見ていただければいいのですが、少し紹介を。
母子世帯になった理由(千世帯、%)理由 | 世帯数 | 割合 |
---|
死別 | 147.2 | 12.0 |
離婚 | 978.5 | 79.9 |
未婚の母 | 70.5 | 5.8 |
遺棄 | 4.4 | 0.4 |
行方不明 | 7.9 | 0.6 |
その他 | 15.0 | 1.2 |
これは平成15年の数字です。圧倒的に多いのは離婚です。離婚した後、父親が死んでいる可能性がありますが、一応生きているとしましょう。死別は12.0%です。昭和58年には、離婚は49.1%で、死別は36.1%でした。離婚の割合が増えています。
離婚のうち養育費の取り決めをしているのは34.0%、していないのは66.0%です。取り決めをしても守らないというケースもあるでしょうし、取り決めがなくても支払うというケースもあるはずです。
なお、協議離婚の場合、取り決めをしないケースが3/4ありますが、取り決めはしてお他方がいいですし、決めをするなら、文書にしておいた方がいいです。履行されなかったとき裁判所を利用し多場合に要求を通しやすくなります。
政治学者の卵さんのように、母親が養育費を要求すればいいじゃないかという議論もあるでしょうが、実際問題として、暴力男という可能性もありますし、相手の顔も見たくない、声も聞きたくない、手紙も、メールも見たくないという場合はあるわけで、ここに大きな期待を掛けるのは無理でしょう。特に遺棄された場合や、行方不明の場合は難しいでしょう。
かといって、dojinさんのおっしゃるように「なかなかそういうことはできない」とも言い切れません。
国が母子世帯に援助するなら、直接給付しておいて、費用を後から父親に請求するというやり方もありますし、養育費の取り立てを援助する(具体的には、弁護士費用の援助でしょうか?)という方法もあります。養育費の取り決めを支援するという方法もあるでしょう。それはそれで費用はかかるでしょうけれども。制度をうまく作る必要もありますが。
パターナリズムという批判はあるかもしれませんが、パーテル(父親)が義務を放棄しているのですから、国が父親になるほかないでしょう。
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