足による投票 その2
「足による投票」で、こんなことを書きました。
地方政府は、豊かな(一人当たりの所得が高く)地方を作ろうとするとします。あくまで仮定です。
このような地方政府は、どんな政策を採るでしょうか?現在の住民を豊かにするという方法がありますが、これは直接には足による投票に結びつかないので、除外しておきます。
概念的には、次の二つです。
1 他の地方政府の地域に住んでいる豊かな住民を呼び寄せ、自分の地域に住んでいる豊かな住民を引き留める政策
例えば、豊かな人に累進税率を掛けない、高級住宅地など財産に対する税率を低くする。高所得層が好むような行事を開く、美術館など施設を作る。補助金を出して、授業料の高い私立学校を誘致する。
これらは、まあ、まともとも言えます。岩田先生のおっしゃる「各地方政府は人々や企業を引きつけようとして競争する。」という状況になるかもしれません。
でも、そうまともではない政策が採られるかもしれません。
2 他の地方政府の地域に住んでいる貧しい住民の流入を抑え、自分の地域に住んでいる貧しい住民を追い出す政策
例えば、人的控除を低くする。高額の人頭税を課す。低所得者向けの住宅を造らない。(これは大事です。)低所得者のもつ住宅を買い上げ、他の地方政府の地域への移転を促す。公立高校を作らないか、授業料を高くする。
これと同じではありませんが、非常によく似た例が出現しそうです。Soul Stationさんが紹介されている(http://www.lenis.info/~may0178/mt/archives/2006/12/post_57.html)芦屋市です。
六麓荘町では、敷地は最低400平米、一戸建てのみしか建てては行けないという規制を加える案です。お屋敷町の景観保護ということですが、もし通ると、ここで家を買おうとすると、1億2千万円以上の土地代払わなければなりません。
貧乏な方はご遠慮下さい。こういうことです。
足による投票という表現を使うと、いかにも投票する側が候補者を選ぶ普通の選挙を連想します。しかし、実際には、投票される側の候補が、誰に投票してもらうかを決めるという面もあるのです。
なお、私は、別に芦屋市を批判しているわけではありません。念のため。
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