「
児童手当 その5」で、平成15年の中絶が319,831件であったことをご紹介しました。
新しいデータをご紹介します。
厚生労働省の衛生行政報告例(
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/130/2004/toukeihyou/0004996/t0109175/FH0060_001.html)によると、16年度の中絶件数は301,673件でした。年齢別に見ると20歳から34歳が中心です。20歳未満も34,745件あります。
人口千人に対する中絶件数のデータもあります。(
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/130/2004/toukeihyou/0004996/t0109176/FH0070_001.html)これを見ると20歳未満の中絶の率は高まり、20歳から24歳は高止まり、それより上の年齢では低下を続けています。
平成16年度の中絶項目 | 件数 | 中絶率 | 上昇 |
---|
年齢計 | 301,673 | 0.0106 | - |
20歳未満 | 34,745 | 0.0105 | - |
うち18歳 | 9,747 | 0.0145 | 0.0145 |
うち19歳 | 12,946 | 0.0184 | 0.0184 | |
20から24歳 | 74,711 | 0.0198 | 0.0990 |
25から29歳 | 61,881 | 0.0144 | 0.0720 |
30から34歳 | 61,628 | 0.0127 | 0.0635 |
35から39歳 | 46,878 | 0.0109 | 0.0545 |
40から44歳 | 20,067 | 0.0051 | 0.0255 |
45から49歳 | 1,666 | 0.0004 | - |
50歳以上 | 16 | - | - |
中絶率は一人当たりの件数です。0.001なら千人に一人が中絶していることになります。上昇は中絶が全くなければ(死産もないとして)
合計特殊出生率がどれだけ上がるかを示したものです。
もし、中絶が全くなく、全員が無事生まれれば、
合計特殊出生率は0.29上がります。年度と暦年で食い違っていて残念なのですが、平成16年の
合計特殊出生率は1.29でした。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai04/kekka2.html#2
中絶が全然なければ、1.6程度であったろうと思います。年金の問題に絡めて考えると、よほど平均寿命が延びない限り、この水準は余裕綽々です。平均寿命が現在の予想以上に延びない限り三分の一の減らすだけでも年金制度は安泰です。
さて、児童手当を
少子化対策として考えるなら、「この中絶を減らすに足る水準の手当はいくらか?」と考えるのが現実的です。
実は、私は、「
児童手当 その1」から「
児童手当 その8」までで書いたように、児童手当を
少子化対策としてだけ考えるのは適当でないと思っていますし、低額の児童手当だけでは
少子化対策には有効ではないと予想しています。
中絶をある程度の率で防止するには、18歳から22歳ぐらいまでの女性に手厚い出産、
子育て支援、例えば高額、すくなくとも10万円ぐらいの児童手当を払うのが有効だろうと推測しています。
若い女性が出産した場合、所得がなければ高校、専門学校、大学に通うのが困難です。そして学校を卒業していなければ、それなりの生活を送るのが困難です。出産すれば将来の展望を失うということです。将来の展望を失ってでも出産する女性がそんなに大勢いるでしょうか。国が
少子化対策を考えるなら、若い時に出産しても将来の展望を失わないようにするのが第一です。
既に学校を出た女性でよりも、学校も出ていない女性の方が援助を必要とします。現在の手当は子供が第一子か、第二子か、第三子か、年齢が何歳か、所得がどれぐらいかを基準にしています。それはそれで合理的ですが、
少子化対策として考えるのであれば、母親の年齢を考慮しないと効果がありません。
若い時に出産しても将来の展望を失わないようにするために必要な額を考えて見ると、生活費、学費などで、少なくとも10万円程度かと思います。
かなりの財政負担になり、若い女性が出産することに抵抗があるのかもしれませんが、社会が変わらず、女性の行動だけを変えようとしても失敗してしまいます。
最後に、皆さんの身の回りで、どれぐらいの中絶が行われているのか、平成16年度の
都道府県別のデータです。
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/130/2004/toukeihyou/0004981/t0107148/HAR0630_001.html
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