「
ケア マネージャーの気持ち」で、ケア マネージャー(介護支援専門員)の労働条件と意識について
厚生労働省の調査をご紹介しました。
同じ調査で
介護施設で介護に当たっていらっしゃる職員(介護職員)についても、調査されていますので、ご紹介します。
その説明の前に、前回と同様、いくつか客観的なデータを。
まず、平成16年の「賃金構造基本統計調査(
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data16/30401.xls)」から、労働条件を。※134行目にあります。
介護職員の労働条件項目 | 男女計 | 男性 | 女性 |
---|
年齢(歳) | 35.0 | 32.5 | 36.1 |
勤続年数(年) | 5.7 | 5.6 | 5.8 |
所定労働時間(月あたり時間) | 165 | 165 | 165 |
超過(所定外)労働時間(月あたり時間) | 4 | 5 | 6 |
現金給与総額(千円) | 221.4 | 238.1 | 214.1 |
所定内給与(千円) | 207.7 | 222.3 | 201.4 |
1年分の特別給与(千円) | 630.0 | 695.6 | 601.4 |
労働者数(人) | 315,430 | 95,880 | 219,550 |
ケア マネージャーと同じように、所定外労働時間があまり長くないこと、女性の割合が高いこと、そして賃金が女性の方が低いことに注目してください。
ケア マネージャーに比べると、労働時間にはほとんど差がありません。賃金の方は大体5万円ぐらい低い水準です。「
院生の給料」で、学卒の初任給をご紹介しましたが、男性で
修士の初任給ぐらい、女性で大卒より1万円ぐらい高い水準です。
介護職員の内、介護実務の専門家と言えるのが、
介護福祉士です。介護職員の平均よりは給料が高いのではないかと想像します。
介護福祉士になるのには、になるにはいろいろなコースがあるのですが、一つは福祉計の大学を出て、1年間養成所に行くことです。これを考えると、現在の賃金水準をどう評価すべきでしょうか?
なお、
介護福祉士の仕事、なり方など知りたい方は、
介護福祉士会のHPをご覧になるといいと思います。
http://www.jaccw.or.jp/mezasu/mezasu.html
なお、参考ですが、
介護施設の介護職員はかなり求人があります。必ずしも資格を要求しているとは限らないので、失業から脱却するなら、狙い目です。
さて、いよいよ「平成16年度介護サービス施設・事業所調査」の結果です。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service04/index.html
まず、図12と表26をご覧下さい。
この調査で見ても、労働時間はそれほど長くありません。問題は交代制勤務があることです。日勤は27.9%だけで、三交替が22.8%、二交替が38%です。時間は短いが、きついということです。仕事の内容が受け入れられるなら、夜だけ働きたいという方には向くかもしれません。多分、給料も平均よりよくなるはずです。
図14(p.23)をご覧下さい。
現在の仕事を選んだ理由です。
一位 「働きがいのある仕事だから」 64.6.%
二位 「能力・個性・資格が生かせる」 36.8%
ケア マネージャーでは、この両者にはほとんど差がなかったのですが、介護職員では大きな差があります。資格のない方がいらしゃることも影響しているでしょうし、資格の割には給料が安いと言うことかもしれません。
三位 「通勤が便利」 36.4%
これは、ケア マネージャーと差がありません。結婚した女性には重要なことかもしれません。
四位 「労働条件がいい」 10.4%
ケア マネージャーでは18.1%あったのですが、随分低くなっています。給料が5万円ぐらい安く、交代制もあるというのでは、やむを得ない結果でしょう。
「
ケア マネージャーの気持ち」で、ご紹介したように、ケア マネージャーの試験の合格者の28.7%が
介護福祉士です。このような状態であれば、ケア マネージャーになりたいと考える方がいらっしゃるのも無理はないでしょう。
次に、「現在の仕事への不満、悩み」です。表28をご覧下さい。
「給与等収入が低い」がトップで、47.8%もあります。ケアマネージャーと比べると10ポイント以上高い水準です。次が、「有給休暇が取りにくい」では43.9%です。ケアマネージャより20ポイント近く高い水準です。一方、交代制があるにも関わらず、「労働時間が希望に合わない」は8.3%で、これはケアマネージャーとほぼと同じです。
ケアマネージャーでもっとも不満が高かった「業務の負担や責任が重すぎる」は29.9%で低いのですがかなりの割合です。「給料の割に」ということかもしれませんし、
高齢者に直接接していて、直接責任を負うことの反映かもしれません。「
介護 追加」で、別な統計をご紹介したのですが、「利用者の事故への補償」を多くの方が心配しているようです。「仕事がきつく体力的に不安がある」も26.8%あります。
この労働条件、介護職員の気持ちをを皆さんはどのように思われますか?
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