日本の公務部門の効率は低いのか?
労務屋@保守おやじさんが、日本の公的部門の職員の一人あたり効率は低そうだと述べておられます。http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20050627
そのこと自体にはいろいろ議論があるのでしょうが、労務屋@保守おやじさんの論拠がどうも腑に落ちません。
労務屋@保守おやじさんの論拠をご紹介します。
まず、
(a)=公的部門の職員数÷人口×1,000
(b)=一般政府の人件費÷GDP
とします。
そして(b)÷(a)を効率性の指標とします。
これを計算し、日本を1として指数化すると、
日本 1
フランス 0.72
ドイツ 0.71
アメリカ 0.62
イギリス 0.52
となると計算されています。
ですから、おそらく(b)÷(a)が大きいほど効率性が低いと判断されているようです。
少し議論がしづらいのでをこれの逆数X=(a)÷(b)を取って、効率性の指標とします。大きいほど効率性が高いと考えるわけです。
果たしてこのXを効率性の指標と考えていいものでしょうか。
元に戻ってXがどのような数字か考えてみます。
X=(a)÷(b)
=(公的部門の職員数÷人口×1,000)÷(一般政府の人件費÷GDP)
=(GDP÷人口)×(公的部門の職員数÷一般政府の人件費)×1,000
=(GDP÷人口)÷(一般政府の人件費÷公的部門の職員数)×1,000
=一人あたりGDP÷(公的部門の職員一人あたり人件費)×1,000
です。
これが公務部門の職員一人あたりの効率を示すのでしょうか。
一人あたりGDPが大きいほどこの指標は大きくなりますが、一人あたりGDPを決めるのは、人口に占める労働者の割合、一人あたり資本、技術でしょう。どれも公務とは関係がありません。
公的部門の職員一人あたり人件費が安いほどこの指標は大きくなりますが、公的部門の職員一人あたり人件費が安いから、一人あたりの効率が高いとも言えません。
ふだん、労務屋@保守おやじさんのエントリを参考にさせていただいているので、今回のご主張にはとまどいを感じています。私がなにか誤解をしているのでしょうか?
念のためですが、日本の公務員の効率型の先進諸国より高いと主張しているわけではありません。よく分からないというのが私の本音です。
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