『国家の罠』-「好きなこと」と「できること」-

最初にお断りしておきます。今日は統計はでてきません。

佐藤優国家の罠-外務省のラスプーチンと呼ばれて』新潮社

http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/200503.html#10

を読みました。実に面白い本です。著者は同志社大学神学部を出て、ノンキャリアとして外務省に入り、ロシア語の専門家として養成されました。ロシア中心に特殊情報の業務に携わり、専門家として、極めて高い評価を受けた方です。

その後どうなっていったかは、この本を読んでいただくとして、この本の中で佐藤氏は意外なことを述べています。

「私は社会人になってから、なぜか情報畑の仕事ばかりを歩んできたが、正直言ってこの仕事は好きではない。もともと人見知りが激しいので、本を読んで、その感想をノートに綴ったり、ごく少数の信頼できる友だちとりとめのない話をしている方がずっといいし、心が安まるのだ。」(190,191ページ)

「『もういやなんです。この仕事が。実をいうと以前からやめたいと思っていました。好きなこととできることは違います。(中略)特殊情報の仕事は僕の好きな仕事ではありません。』」(278ページ)

これが、本当かどうかはご本人しか知らないことだが、一面の事実であると思えます。一方で、これだけの業績を上げるからには、仕事に情熱を持って取り組んでいたとも思えます。

仕事には、心から好きな仕事もあれば、好きであり、同時に嫌いでもある仕事もあります。また、好きな仕事ではあるが、それに付随していやなことのある仕事もあります。好きではないが、やりがいはあるというものもあります。

好き嫌いで仕事を選ぶのも一つの道でしょうが、社会人としては、「できること」で仕事を選び、能力を発揮して、社会に貢献するのも一つの道です。

そんなことを、この本を読んで考えました。