銀行の税金 25年度中間決算

全国銀行協会が、全国銀行の25年度の中間決算(単体)を発表しました。税金の支払額は4割弱増加しています。 経常利益は、2兆7千億円、税引き前当期利益は、2兆6千億円です。どちらも前年同期に比べて6割以上増えています。全銀協のプレスリリースによると、増えた要因は、貸倒引当金の戻し入れや株式売却益の増加によるもので、アベノミクスの成果といえるでしょう。ただし、貸倒引当が不足していないか注意が必要だと思います。 銀行の利益(億円)
経常利益純特別利益税引き前当期利益
15年度5,1264,7959,921
16年度19,0177,01826,034
17年度47,50411,78259,286
18年度43,1154,27747,393
19年度34,497△48834,009
20年度△16,0963,119△12,977
21年度24,4571,05725,514
22年度32,61154233,153
23年度38,173△1,12637,047
24年度39,833△45839,375
25年度中間26,518△45526,063
法人税、住民税、事業税も、前年同期比40%近く増加し、5千億円を超えました。法人税等調整額は大幅増加で、3千億円に近い数字です。理由はよくわかりません。当期純利益は、1兆8千億円に迫っています。ただ、法人税などと調整額を合わせた額は、8千億円を超えています。株価の暴落というような事態が発生しなければ年間の税収も期待できます。 利益・税など(億円)
法人税など(A)調整額(B)当期純利益仮定(A)+(B)
15年度1,63616,083-7,79917,719
16年度1,88911,20312,94113,092
17年度3,00814,24042,03717,248
18年度4,9688,43933,98013,407
19年度5,4277,33521,24612,782
20年度3,4153,564△19,9566,975
21年度3,6483,75018,1167,398
22年度3,6974,37125,0848,068
23年度5,2317,00324,81212,234
24年度7,4751,58730,3119,062
25年度中間5,1922,93917、9328,131
繰り延べ税金資産は、大幅に減りこの表の範囲では最も少なくなっています。自己資本に占める割合も1.5%と最低です。なお、大きく減っているのは信託銀行(△64%)、都市銀行(△40%)、地方銀行(△16%)で、第二地方銀行は2%しか減っていません。 銀行の資産(億円)>
繰延税金資産資本割合
15年度289,611
16年度58,600314,35818.6%
17年度32,337373,0728.7%
18年度24,786400,3486.2%
19年度39,114348,33811.2%
20年度50,554289,67617.5%
21年度31,614384,2798.2%
22年度31,510396,6017.9%
23年度21,525421,1215.1%
24年度9,819459,2452.1%
25年度中間7,277473,5141.5%
(注)ここでいう繰り延べ税金資産は、全国銀行協会が発表している「全国銀行総合財務諸表」の資産の部の繰り延べ税金資産です。 「銀行の税金 24年度決算」で、「今後は税収も安定するでしょう。また、企業が銀行の財務が悪くなって、貸しはがしをしてくるのではないかと心配する必要もなくなってきています。需要さえあれば、投資をする環境が整ってきています。」と書きました。貸し出しは1.4%増加しています。これが経済の回復につながればいいのですが。 また、「今回の教訓は次の通りです。 1 長期にわたる不況の後に税収を回復させようと思ったら、企業の財務体質が改善するのをじっくり待つほかはないこと 2 財務体質の改善がある段階まで進むと、利益の伸び以上に税収が増えること 3 その間、経済を安定させる必要があること」とも書きました。税収に大きな影響を与える繰越損失について 、次回書きたいと思っています。 人気blogランキングでは「社会科学」の17位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング