終わりよければすべてよし・・・とは行かないけれど

合計特殊出生率には、「出生数増加」で取り上げた期間合計特殊出生率の他にもう一つコーホート合計特殊出生率というものがあります。

こちらは、同じ年に生まれた女性をひとまとめにして考えていくものです。

例えば、1960年に生まれた女性が100万人いたとします。この女性達が1975年には15歳になります。この年子供を1万人産んだとすると、15歳の出生率は0.01です。1976年に16歳になり、今度は2万人産むと16歳の出生率は0.02です。そして15歳から16歳までの出生率の合計は0.03と計算されます。これを49歳になる2009年まで続けて行きます。50歳以上では普通産まないので、出生率の合計はこれ以上増えません。この100万人の女性が49歳までに200万人の子供を産んだ場合には、それまでの出生率の合計が2になります。女性の数にこの出生率を掛けると実際に生まれた子の数になります。あるいはこの出生率は女性が実際に産んだ子の数を示しているとも言えます。

これを、1960年生まれ、1961年生まれと各年ごとに計算していきます。するとこの出生率の推移が分かります。

さて、女性の人生は規格品ではありませんから、何歳の時に子供を産むかは様々です。ある女性が20歳代で二人産んでそれ以上は産まないとします。また別の女性は20歳代で一人、30歳代で一人産み、やはりそれ以上は産まないとします。違いはありますが、二人とも子供を二人産んだことにかわりはありません。女性が何歳で子供を産もうが、産む人数が変わらなければ、次世代の人数、人口には差がないのです。

二つの出生率のうち、将来の人口の動きを決める上で重要なのは、期間合計特殊出生率ではなく、コーホート合計特殊出生率、それも女性が49歳になったときのコーホート合計特殊出生率なのです。

(続く)

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