就職低水準

 旧聞に属しますが、12月29日の日経新聞に「雇用ミスマッチ続く 求人内容絞り就職低水準」という見出しの記事が載っていました。

 完全失業者数が減っていること、完全失業率も4.5%まで低下していることを紹介し、日本総研の山田研究員のコメントを載せたり、かなり手を掛けた記事で、バランスもいいように思えます。

 ただ、新規求人件数に占める就職件数の割合(これは「充足率」と呼ばれています。)の低下を、単純に「悪化」と表現していることに、やや抵抗を感じました。

 この記事の元になっているのは厚生労働省発表の「一般職業紹介状況」11月分です。(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/ippan/2004/11/hyou1.html)この発表を見ると、確かに常用労働者について充足率は下がっています。しかし、就職件数は153,859人で、前年同月に比べて9.5%増とかなり増えています。また、新規求職者数が、7.7%とかなり高い伸びを示しているにもかかわらず、新規求職者数に占める就職件数の割合(こちらは「就職率」と呼ばれています。)は前年11月の31.2%から31.7%へ上がっています。新規求人倍率も1.51倍と前年同月に比べ0.17ポイント上がっています。

 結局、ハローワークの窓口で何が起こっているのかといえば、求職者よりも求人が増え、就職しやすくなっているということでしょう。逆から見れば、以前ほど簡単には採用できなくなっているのです。労働市場の状況は、ハローワーク窓口でもようやく好転してきたようです。

 充足率の低下は、求人側の企業から見れば好ましくないことでしょうが、景気の回復が、やっと労働市場の改善につながってきているのだとしたら、必ずしも悪いことではありません。これが個人消費の拡大につながれば、企業にとってもいいことではないでしょうか。「悪化」とだけ捉える必要はないように思われます。